□前を向いて
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瑛と話をしに行き、はばたき市に帰ってきて、珪君には家に帰ってもらう事にした。

気持ちの整理がついたし、珪君に沢山甘えて体力がかなり回復したからだ。
それにモデルのバイトも再開したから珪君に週に2回は会う、だから大丈夫。

なのに心配そうに珪君は私に何度も言う

「本当に1人で大丈夫か」

「もうっ、心配し過ぎ。これでも中身は珪君より上なのは知ってるでしょ?
それに、もうすぐテストだからしっかり勉強しないと」

いくらパラメーターが高くても頭に入れないと無意味だ。

「・・・家庭教師・・・」

「え?」

「テスト用の家庭教師、してやる」

「大丈夫よ。私これでもずっと学年トップだし、一度勉強すれば覚えられる」
恐るべきパラメーターマジックなのだ。

「一度は勉強するんだろ。休んでいた部分、教えてやる」

そりゃ、そうだけど・・・

「いいな」

射るような目で見つめないで欲しい。

「うん・・・お願いします」

私の返事を聞いてにっこり笑う珪君。
こんなに世話好きだとは思わなかった。

一応休んでいた分のノートをあかりちゃんに写させてもらう。
正直これだけで殆ど頭に入ってしまうので珪君に教わる必要ないのだけど・・・

あかりちゃんに「一緒に勉強する?」と聞かれて「珪君がどうしても勉強を見てやるって言うから」と返せば「愛されてるね」と嬉しそう。

そうなのだ。
あかりちゃんは今回の事で瑛に怒っている。
珪君に私の事を頼みに行ったのもあかりちゃん。
多分あかりちゃんは珪君が私と一緒にいるのが一番良いって思っているのだろう。
それは自分でも分かってるんだけど、気持ちがまだついて行かない。
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