GS トリップ1

□夏休み突入
1ページ/4ページ

夏休みが始まった。

何年も社会人だった私は長期の休みだという事をすっかり忘れ、予定を入れ忘れていた。

はるひちゃんはバイト。あかりちゃんは部活に忙しいらしい。

つまんないから瑛君に言ってバイトのシフトを増やそうかな。
なんて考えていたら重大な事に気が付いた。

私、Wデート以外にデートしていない!
せっかくGSの世界にトリップしてきたというのに、なんていう事だろう。

これじゃあ、誰ともエンディングを迎えられないんじゃないか?
誰かの恋を見届けるのも素敵だけど、やっぱりエンディングを迎えたい。

でもGSの男キャラって瑛君と志波君しか出会っていない。

志波君はあかりちゃんが好きだったはずだから、絶対に誘えない。
そうすると、瑛君を誘うしかないのか。

なんて考えていると携帯の着信音が鳴った。

「もしもし? 俺。なぁ、おまえ今日も暇だろ? 天気いいし、海日和だし、 これから浜に来ないか?」

「うん、いいかも?」

しかもグッドタイミング

「決まり。 じゃあ、急いでな。 珊瑚礁で待ってる」

急いで用意をして珊瑚礁へ向かった。
途中瑛君から電話で買い物を頼まれ・・・・・

あれ?これってまさか。
まさか水着エプロンイベントなの?
だってまだ7月だよ。ゲームと違う。

重い気持ちのまま買い物を済ませるとゲーム通りのセリフを言われた。

「さっさと水着に着替えて エプロンつけたら、フロアな」

「それ、どうしてもやるの? やっぱり、恥ずかしいよ」

「恥ずかしくない。 水着エプロンの女子高生が珊瑚礁に 与える経済効果を考えろ」

とやっぱりゲーム通りの事言われた。

《ええい!もうやけだわ》

そう思い水着に着替えエプロンつけてフロアにでた。

フロアで瑛君と目が合ったけど思いっきり横向いてやった。ふんっ

最初は瑛君目当てなのか?女性客が多かったのだけど、そのうち男性客が増えてきた。

最近は、少しなら接客と割り切って相手ができるようにはなったのだけど、しつこく声をかけられて・・・

しかも身体をさわられそうになって(避けたけど)泣きそうになってしまった。

《仕事なのに、こんなじゃダメだ》

嫌な気持ちと悔しい気持ちで、思わず唇をかみしめてうつむいてしまったら、瑛君が間に入ってきて

「お客様、ご注文がお決まりでしたらお伺いしますが?」

そう言いながら私を奥に行くように促し、それから男性客の直接の接客はしないようになった。

客足がひけた頃、瑛君が

「ごめん。お前、男が苦手なのに・・俺、それをわかっていたのに、悪かった」

瑛君があまりにも辛そうに言うからなんだか、可哀想になって

「大丈夫だよ。これでも前より平気になってるんだよ?それに瑛君が助けてくれたもん」
そう言って笑ったら何故か抱きしめられた。

うーん、抱きしめたくなる要素があったの?謎だわ。

それから売上目標よりかなり行ったので早めに閉める事になった。

帰り道、
「もうすぐ花火大会だな」

「あ、そうなの?」

しまったチェックし忘れた。

「ああ、なぁ、一緒に行かないか?ほら、今日の埋め合わせにさ」

「うん、行きたい」

思わず大きく何度も頷いて答えて瑛君に笑われてしまった。

やったぁ。羽ケ崎の花火大会、見たかったんだよね。すごく楽しみ。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ