GS トリップ1

□お見舞い(瑛視点)
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ゆかりが倒れて早退した日、
色々考え、結局一旦珊瑚礁に帰ってから見舞いに行く事にした。

葉月さんは保護者代わりなんだと自分に言い聞かせながら、ゆかりの家のチャイムも鳴らす。

すると中から「はい」と言う声と共に女の人が出てきた。

《俺、部屋を間違えたのか?》

そう思い固まっていると

「あら、ひょっとしてゆかりちゃんのお友達かしら?」

「えっ、あのっ俺」

あまりの事に、しどろもどろになってしまう。

そんな俺を見て、女の人は

「珪の強力ライバルってところかしら?
上がって、ゆかりちゃん起きてるわよ」

誰なんだ。一体。

ゆかりの部屋は1DKらしく、寝ている部屋はすぐに分かった。

取り敢えず、ドアをノックすると

「どうかしましたか?洋子さん」

ゆかりの声がした。
ドアを開けると

「え・・・瑛君」

「休んでるのに、悪い。心配だったから・・・・」

「うん、えっと、ありがとう?」

「なんで疑問形になるかな。
ところでさ、あの女の人、誰?」

こういう時に来てくれる女の人がいるのなら、葉月さんが保護者代理じゃなくても良いだろう。

「洋子さん、珪君の従姉でモデルの仕事でもお世話になってる人。
具合が悪い時に男の自分じゃ嫌だろ?って連絡してくれたの」

「ふうん、そうなんだ。
それで、どうだ?調子は」

「うん、寝たらだいぶ良くなったよ」

「寝不足か?・・・ちゃんと寝てなかったのかよ」

「うん、笑わないで聞いてくれる?」

「内容による」

「じゃあ言わない」

「嘘だよ、笑わないから言ってみろ」

「寝て起きたら、自分が羽ばたき市に居なくなってたら、どうしようって思って」

「なんだ?それ、もう少し分かりやすく言ってみろよ」

「だからね。私がここに引っ越してきて、瑛君に会ったのは夢で、寝て起きたら引っ越す前の所に1人だったら、どうしよう。
もう二度と会えなくなっちゃったら・・・」

そこまで聞いて思わず抱きしめた。

「そんな事言うなよっ。夢なんかじゃないから」

ゆかりが本当に消えてしまいそうで、そうせずにはいられなかった。
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