GS逆トリップ(瑛)
□夢にかける思い (瑛)2
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side 瑛
11時半オープンだと言う店で、真っ先に使っている豆を見せて貰う。
一粒摘まみ咬じればカリッと言う音と共に香ばしい香りが広がる。
「いいな」
思わず声が出てしまった。
豆の状態を確かめる事で珊瑚礁を思い出す。
「本当?」
「本当、嘘付いても仕方ないだろ。
他のメニューは?ケーキはどうしてるんだ?」
今からケーキの用意は難しい筈だ。
「ケーキはもうすぐ届く。
他のメニューはランチ2種類とパスタにサンドイッチ系」
「ランチは日替わりよ」と言いながらメニューを渡される。
「へえ、意外と色々あるんだな。バイトは居るのか」
「平日のランチの時間だけ1人。
一応オフィス街が近いから混むのよ」
話ながら名無子はランチの準備をしているようだ。
「今日のランチは?」
「AランチがタンドリーチキンBがグラタン。
タンドリーチキンは昨日から仕込んであるのを焼いちゃっとくから・・・瑛はグラタンをお願いね」
「俺が作るのかよ」
「私も手伝うよ?」
そう言いながら、彼女は違う作業をしている。
二人で作業しながら、店のメニューや営業中の説明を受ける。
「そんなには、混まないけど・・・」
そう言って名無子は笑うけど、作ったランチの数位の客は来るのだろう。
それは、客席の数から考えると充分な数だった。
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