GS逆トリップ(瑛)

□ 夢にかける思い (瑛)4
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約束の日の約束の時間、二次会の打ち合わせに名無子の元彼が来店した。

「本当にうちの店で大丈夫?
まずアルコールは出せない。それから20人ちょっとしか入れない。そこは分かってるの?」

「問題無い。会社の同僚だけの予定、彼女も同じ会社だから人数が少ない。
その、ここが良いってアイツが言うんだ。名無子に手間かけるとは思ってる」

「手間?今更な事言わないで。じゃあ幹事が決まったら連絡お願い。当日シンちゃんは動けないでしょ」

「あぁ、そうだな。連絡は、店に・・・それとも」

「どっちでも。携帯もメアドも変えてない」

なんだか、ツーカーっていう雰囲気の2人に苛つく。
話が終わり「食べる物持ってくる」と立ち上がる名無子の様子が伺える。

その時
「なあ、名無子俺、本当はお前の事まだ・・・好きみたいだ。
もしもお前の気持ちが・・・・・」

俺の耳に聞こえてきた奴の言葉。
やっぱり、これが目的だったんだ。

「やめて、シンちゃん結婚するんでしょ。最低だよ?」

俺のものじゃ無いのは分かってる、だけど他の男に触れさせたくない。
そう思い2人の傍へ行こうとした俺の耳に名無子の声が届く。

「それに悪いけど、そういう気持ちがあるのなら今回の仕事は断りたい」

俺は出て行かなくて、良いみたいだ。

「悪かった。今のは忘れてくれ。
でも俺はいつでも名無子の力になる事覚えていてくれ」

「ありがと。でももう遅いの。
貴方は奥さんになる彼女の事を大事にしてね」

「つまり俺に気持ちは残って無いって事か」

そんな事無いだろう。この前見た辛そうな名無子顔を思い出す。
本当は、我慢しているのだろう。

「今日は、もう帰るよ。連絡するからよろしく頼む」

その言葉を残し帰っていった。

奴が帰った後名無子は、動かなかった。
そっと近づくと泣きそうな顔が見える。

ー護りたいー

自分の気持ちが溢れてきて、思わず抱きしめ自分の腕の中に閉じ込めた。

「・・・我慢、するな。辛い時は辛いって言えよ。俺にだけ、でも」

「・・・瑛・・・」



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