GS逆トリップ(瑛)

□夢にかける思い  (瑛)5
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明け方、喉の渇きで目が覚める。

そうだ・・・昨日は無理言って名無子のベッドで寝たのだった。
・・・何もさせて貰えなかったけど。

そんな事思いながらベッドから出ると隣の名無子が薄らと目を開ける。

「ん・・・何時?」

寝起きで掠れた声が色っぽくて色々とヤバい。

「まだ早い、水を飲もうと思って」

そう言いながらドアを開けて気が付き、振り替えって確認する。
俺が今いる部屋は名無子の部屋、間違いない。

だけどドアの向こうは

「名無子、俺帰る時が来たみたいだ」

「え、なんで?」

「なんでだか分からないけど、ドアの向こう、俺の部屋。
なあ・・・・一緒に来て、くれないよな?」

「うん、無理」

「即答かよ」

「二次会の予約入れちゃったもん」

・・・・へ?

「なあ、それが無ければ一緒に来てくれたのか?」

「うーん、どうだろう?
瑛と一緒に瑛の夢のお店を作ってみたいかも」

「だってお前にはお前の店が」

「何処でだって私の夢は叶えられる。
それに今の店は土台が出来てる、けど最初から作って行くのってやってみたい」

そうだ、珊瑚礁じゃなくても俺はバリスタになって自分の店を作るのが夢だったんだ。

「瑛は瑛にしか出来ない店を作りなさいね」

そう言って微笑む名無子にキスをして

「俺、絶対もう一度お前に会いにくる」

「ん、待ってる。そうだこれまた会えるように、お守り」

そう言って店の名前と住所が書かれたカードと鍵を渡される。

「これ・・・・」

「ウチの鍵よ。あとお店の住所が分かったほうが探しやすいでしょ?
待ってるから私」

「ああ、絶対に会いにきてみせる」

今の俺はまだ中途半端だ。
せめて大学を卒業してから名無子に会いに来よう。

「じゃあ、また・・・」

そして俺は自分の部屋へと戻った。



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