薄桜鬼 逆トリップ

□大志を抱け!
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「かえでお前、今日は休みって言っていたな。手間かけて悪いが頼みたい事がある」

少し遅めの朝食をとりながら土方さんが言う。

「休みですけど・・・あぁ、服を買いに行ったほうが良いですね。あと最低限必要な物も買わないと不便か・・・」

SSLからの彼なのでこの時代にそぐわない格好ではないけれど、ずっとスーツ姿というのも疲れそうだし着替えも必要だろう。

「ああ、それもなんだが、図書館・・・本屋でも良いから行きてぇ。案内してくれ」

「欲しい本でもあるんですか?」

「こっちの世界の参考書とか指導要領を見たい。あとは色んな学校の教育理念に目を通して今後の参考にしてえ」

おぉっ、教育者の鑑だわ。近藤さんの学園が大事なのね。なんて土方さんの願いを聞いて少しだけ尊敬。

だけど

「参考書は本屋で沢山売ってますけど、指導要領なんて見たこと無いです。確か、あれって国から出されるモノでしょ?
教育なんちゃらは、ネットで好きなだけ勝手に調べて下さい」

言いながらノートPCを土方さんの前にずぃっと押し出す。
これが可能なSSL設定からのトリップは楽なのかもしれない。細かい説明なしで自分で動いてくれる。
もしも幕末の鬼の副長が来ちゃってたらと考えると恐ろしい。

「わかった。パソコンは有り難く使わせてもらう。
じゃあ今日は本屋と服屋に案内してくれ。図書館は場所だけ教えてくれればかえでが仕事に行ってる時にでも行きゃあ良い」

偉そうだなと思い「はいはい」と返事をしながら、ちらりと「返事は1回だ」なんて言い返されるかな?と思ったが、それはなかった。


***************

まずは服をという事で近くのショッピングモールに来たは良いが土方さんの服の好みなんて分からない。

「土方さんって普段着はいつもどんなのを着てるんですか?」

悩むより聞いてしまったほうが早いと思ったのだけど返ってきた言葉は

「普段着?・・・そういや着ねえな」

着ないの?自宅でもその格好?
動きにくいし休まらないだろう。

疑問を持つ私に気付いているのか、いないのかは分からないけど、土方さんはそのまま話を続ける。

「仕方無いだろ仕事が忙しいんだよ。学校が休みでも部活やら事務仕事があって出勤してるから普段着なんて必要ねえんだ」

そういやゲームの中じゃ、いつもスーツだったような気がする。

「じゃあ、下着と寝巻きと・・・適当なトップスとボトムスを買います」

そう宣言した私の目に1つの店舗が止まった。
ここなら高すぎず安っぽくならず土方さんに似合うだろう。

意外にもこだわりの少ない土方さんの服の購入は短時間で終了。
寝間着を選ぶ時に寝る時はパジャマに決まっているだろう、って言ったのが少し可愛く思えたのは秘密だ。

その他の本を含めた一通りの買い物を済ませ荷物持ちが居るので食料品も買う事にする。

「夕飯に食べたい物ありますか?」

確かこの人の食生活は酷いというエピソードがあったはずだ。
関係が無いかもしれないが、こっちに居る間だけでもマトモな物を食べさせて栄養ドリンクに頼る事が無いようにしたい。

「何でも良いが、強いて言えば和食だな」

そういえば幕末のほうでは煮物を千鶴ちゃんに頼んでたし沢庵が好物だった。

和食・・・正直あまり自信が無い。

有り難く無い事に土方さんに私の思いが伝わったらしく

「無理はしなくて良い」

カチン
私だって煮物位作っちゃうんだから



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