GS トリップ1
□モデル
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撮影の休憩中、珪君に話しかけられた。
「なあ、お前、名前」
そういえば、ちゃんと自己紹介していない。
「東 ゆかりです」
「そうか、やっぱり、ゆかりか」
え?やっぱり、って私がこっちの世界に知り合いがいるわけない。ましてやGSのキャラと知り合いのわけが無い。
「ゆかり、これ誰だか分るよな」
そう言って1枚の写真を見せてきた。
「え?ゆうかさん?」
現実世界での私のお姉さん的存在の人だ。
私の言葉に頷くと、写真をもう1枚出した。
「じゃあ、これは?」
「え…この写真、なんで?葉月さんが?」
ゆうかさんの結婚式の日私と2人で撮った物。
私がこっちの世界へ来る1ヵ月位前の物だ。
そう、この世界の物ではない写真。
そして私が25歳の写真。
「この前、ゆうかから来た手紙に入っていた」
聞きたい事がいっぱいあるのに言葉に出来ない。
「・・・ゆうかは幸せなんだな?」
少し寂しそうに葉月さんがつぶやいた。
いつ知り合ったのか?いつ別れたのか?私にはわからない。
でもきっと、ゆうかさんも私と同じようにこの世界に居たのだろう。
「ゆうかからお前の話を何度も聞いていて…会ってみたかった。会えて良かった」
話しが終わった頃、撮影がまた再開し最後に夕日をバックのショットを撮った。
なんでも一番欲しかったショットらしい。
撮影隊が帰り、片付けをしていると瑛君が話しかけてきた。
「なあ、葉月さんと何話し込んでいたんだ」
「私のお姉さんみたいな人と葉月さんが知り合いだったの。だから葉月さん私の事知ってたみたい」
「ふうん、だから相手を頼まれたってわけか」
瑛君と話しながら思った。
もしも、ゆうかさんがこっちの世界にいたのなら帰ったって事なんだよね。
どんなにこの世界のみんなと仲良くなったとしても、別れなくちゃならない…という事なのだろう。
葉月さんの寂しそうな顔を思い出し、心がチクリと痛んだ。
誰かを悲しませるのは嫌・・・・・。