処分困難品

□空の陰
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あなたと同じになりたかったのです。


あなたと同じものを見て、
あなたと同じ場所に居て、
あなたと同じものを考えて。


あなたと同じになりたかったのです。
息が苦しくなる程に、焦がれていました。
同じになれないのなら、
息ができなくなればいいと思っていました。


あなたと同じになりたかったのです。
けれど…
あなたはずっと先を見ていて、
あなたは自由に羽ばたく翼を持っていて、
あなたは誰からも好かれていて。


いつしか、
地べたをのろのろと這いずり回る自分には、
あなたに追い付けないと気付かざるを得ませんでした。

あなたは沢山を持っていて、
あなたは眩しくて、
あなたは誰にでもやさしくて、
あなたは、
あなたは。


もう、同じ場所に居ることすらできなくなってしまいました。
息ができなくなりもせず。
なんて惨めで始末の悪い。

きっとこれは僻みなのでしょう。
愚かな自分の、下らない意地なのでしょう。
けれど自分は、自ら消える道しか選べなかった。

居なくなりたい。
自分が居なくても、何も変わらない事は充分に知っているから。


それでもやっぱり、あなたと同じになりたかったのです。
息は、
今も苦しいままで。

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