ぷよぷよ

□甘い御菓子はいかが?
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ボーッとしていたらいつの間にかウェディングケーキを焼いていた。
放っておくのももったいない。
紅茶でも淹れてゆっくり食べるとしよう。

そう思っていた。

何故か彗星の魔導師が押しかけてきた。
「ケーキ....ケーキケーキケーキケーキケーキケーキケーキ....ケーキ!」
げっそりとやつれたアイツは俺の作ったケーキを一瞬にして平らげていた。
まったく、迷惑なやつだ。

「ありがとう。さっきのケーキ、とってもおいしかったよ。でもやっぱり自分で作るのがいちばんだ」
「人のケーキを勝手に食べ尽くしておいて評価するな」
まったく、なんなんだこいつは。
甘いもののことになると無敵だな。
「せっかくだからおいしいケーキの作り方を教えましょう、こちらのキッチンへどうぞ」
「勝手に行くな、人の話しを聞け!」
レムレスはすたこらさっさと勝手にシェゾのキッチンに向かう。
「まったく、めんどくさいやつだな」

「おーい、こっちにおいでよ。ケーキそろそろ焼けるよー」
「いらんわ」
勝手にキッチンを使用しているレムレスをシェゾは傍観していた。
キッチンから流れてくるケーキの甘い臭いを感じつつ、シェゾは不機嫌そうに眉間にしわを寄せていた。
「どうしたの?」
「なんでもねーよ」
「そう?・・・おっと、ケーキが焦げちゃう」
レムレスは慌ててレンジからケーキを取り出した。
ギリギリセーフでケーキはふっくらときれいに焼けていた。
「できた。シェゾ、いっしょに食べようよ」
「だからいらん」
いい加減しつこいと心の中で呟くシェゾ。
「シェゾ、こっちむいて」
「なんだよ....!?」
レムレスに促されて振り向くと、口の中に何かを無理矢理突っ込まれた。
口の中でじわじわと甘味が広がっていくことから、それがケーキであることがすぐにわかった。
「ンン....モゴモゴ」
口の中にケーキが入っているのでうまく喋れない。
仕方なくシェゾは口の中に無理矢理突っ込まれたケーキをゆっくり噛んで飲み込んだ。
「てめぇ....いきなりなにしやがる」
「はは、ごめんごめん。おいしかった?」
「....そりゃ不味くはないな」
「なら良かった」
シェゾは返事に迷ってそっぽ向く。
その様子がレムレスにはおもしろかったようで顔をのぞきこんでみる。
「なんなんだよ」
「なんとなく」
しばらくじゃれあう二人。
といってもレムレスが一方的にシェゾに詰め寄っているだけである。
ケーキの存在は二人の中では忘れられつつあった。

そこでレムレスがケーキの存在を思い出すと突然こう言った。
「そうだ。フェーリとアルルを連れてきてくれない?」
「いきなり何を言うか」
「お願いだよ。連れてきてよ」
こどものように甘えた声でねだるレムレス。
お前はガキかとつっこみたいシェゾだが、仕方ないな、と外に出た。
「ふふ、楽しみだな」
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