短編(パラレル)
□108本の薔薇を(1) RNR
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「ねぇ、ロビン。今日は、帰りたくない。」
「……親御さんが心配するわ。ちゃんと帰りなさい。」
私は自分にもあの子にも嘘をついた。物分かりのいいまともな大人なフリをした。
あの子は傷ついた顔をして、けれど無理をして笑ってみせた。
その一週間後、もう会えないと電話で伝えた時も、あの子は何も聞かずにこう言った。
「そっか。ごめんね、ロビン。元気でね。」
自分で自分の心臓を射抜いたようなものだったけれど、あの子を傷つけたのは紛れもなく私で、その傷の方がずっと痛いと思った。