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□7話 甘やかしたい女の子
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「ちひろが変です、兄上」

アマイモンが言った

メフィストは仕事の手を休め、頬杖をついてアマイモンと目を合わせる

「またか…」

今度は何をしたんだとメフィストが呆れ顔で問いかけた

「ボクは何もしていません」

「そうなのか?」

「はい」

「どんな風に変なんだ?」

「自分の部屋に早く帰りたがるようになりました」

「確かにそうだな」

「それに、ボク達のいないところで誰かと連絡をとっているようです」

「…ほぅ」

バレていないと思っているちひろは本当に馬鹿ですね、とアマイモンは続けた

「男でも出来たのではないか?」

「男?」

「私達に内緒で彼氏を作ったのではないか?」

「彼氏…」

「恋人とも言う」

「…」

「どうした?」

「無性にイライラします。どこの人間の男がボクの下僕に手を出したのですか?」

「まぁ、確証は無いがな」

私の召使いでもあるんだぞと言ったが、アマイモンはいつもの通り聞いていなかった

「その男を殺します」

「殺すのは止めろ」

「では…半殺しにします」

「殺さないなら構わないが、加減はしろよ」

「はい、兄上」

アマイモンはちひろの所に行ってくると言い、乱暴にドアを開けて出て行った

「こらっ、乱暴に開けるな」

メフィストが言ったが、アマイモンは返事さえしないで廊下を歩いていく

「まったくあの愚弟め」

ため息をついてメフィストは仕事に戻った

そうして、仕事をする音だけが響く、静かな空間に戻る

「…私に隠し事ですか、ちひろさん。悪い男だったら、こっそり殺しましょうか。それとも…ちひろを半殺しにでもしましょうか」

メフィストは再度ため息をつき、書類を読み始めた
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