Episode

□08,上流階級
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「聞いたよ。あのカータが帰ってきてるんだってね」

コンスタンスの中庭でリエナはマークと話していた。

「またネイトを怒らすことにならなきゃいいけどね」

マークは目を伏せて笑った。

そんな2人を見つけ私は声を掛けた。

「おはよう!マークに“ブーツ”」

するとリエナは目を細めて私を見つめたかと思うとマークを小突く。

「いてっ!」

「相変わらず仲が良いね」

2人を見て私は笑うとリエナは眉を顰めた。

「ねぇ、それよりマリアは相手見つけた?」

「相手って何のこと?」

「何のことって…」

何も知らない私にリエナもマークも驚いていた。

「もうじき恒例の社交界だよ!」

「ああ」

そうだった、と私は手を叩いて思い出した。

「それがまだなんだよね…」

そう答える私にマークは微笑んだ。

「まだ心配することはないよ。一か月後だしね」

「そうそう」とリエナが相槌を打つ。

「リエナはもう決まってるの?」

「それが…」

ふと尋ねるとリエナは気まずそうな声を発した。

「この間のヴィクトリアのショーでね、サルヴァトーレとの仲をゴシップされちゃって…」

「え!?彼ってゲイなんじゃないの?」

私が驚いているとマークは目を細めた。

「ブレアとアイザックが彼を陥れたじゃん?その反発が振りかかったんだよ」

「つまりどういう事?」

「ゲイ疑惑が世間に広まっちゃう前に私と社交界に出ればチャラになるって思ってるんじゃないかな?」

リエナは肩を竦めてそう答えた。

「リエナはそれでいいの?」

「ん〜、別に行きたい人がいるわけじゃないし」

と話すと隣りに座って居たマークは目を伏せて笑っていた。

「そういうもんなの?」

そう尋ねるとリエナは頷いた。
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