LEON
□02,迷える子羊
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夕方生徒たちは夜の楽しみに向け笑顔で帰っていく中、コンスタンスの中庭でポツリと1人で風に当たるリエナの姿があった。
12月のニューヨークの風は冷え冷えとしており、鼻がツンと痛む。
そんな彼女の元に不思議そうな表情を浮かべたマークが現れる。
「こんな所でどうしたの?」
壁に寄りかかりながらマークは尋ねるとリエナは笑みを浮かべ首を横に振った。
「もうこの季節かと思って」
「しみじみしてるね」
いつもと雰囲気の違うリエナにマークは可笑しく笑うとリエナは怪訝そうに彼を見つめたが、リエナもつられて笑った。
「本当はもう少しここに居たくてね」
「どうして?」
更に不思議そうにするマークにリエナは目を伏せた。
「ちょっと用事があって暫くここに来れなくなるから」
「何で?」
「もうさっきから質問ばっか」
ポカンと口を開けるマークにリエナは咳払いした。
「ごめん。でも意味深なんだもん」
「大したことじゃないよ。ただ父から任務を任されて」
少し嬉しそうに話すリエナにマークは目を丸くさせてそして微笑んだ。
「良かったじゃん!今回はどんな任務なの?」
「それは言えないけど、やりがいはあるかな」
口角を上げ得意気な表情で話すリエナにマークは嬉しくなった。
「それでその任務のことはレオンには言ったの?」
「え、何で?」
マークの問いに驚くリエナにマークは目を細めた。
「何でって。そういう仲なんでしょ?」
彼の言葉に漸くリエナは納得したような表情をする。
「まぁ確かに社交界に出たけど、それっきりだし」
肩を竦めて話すリエナにマークはため息を吐いた。
「それリエナの悪い癖だよ。向き合うのをやめちゃう」
「何に向き合うって言うの?」
「分かってるくせに」
笑って答えるマークにリエナは目を伏せた。
「それよりさっきの任務のことは誰にも言わないでね。風邪で休むことになってるから」
-秘密って誰にでもあるものだよね。
例えどんな秘密であろうともそれは身を守るために利用するもの。
男は、自己の秘密よりも他人の秘密を誠実に守る。女は、その反対に、人の秘密よりも自己の秘密をよく守る。
ではここで問題。
この女は何を守るためでしょうか。
xoxo-