FAIRY TAIL
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目覚めると、ギルドの天井が見えた。その距離感から長いすに寝かされていると分かった。こんな重い体を、申し訳ない。
そのままの体制で状況を確認すると、
「しかし私はそうやって仲良くしてるところを見るのが好きだぞ」
「あ…いや…いつも言ってっけど……」
懐かしい声がする。最近は互いに行き違いになっていて、かれこれ三ヶ月は会っていなかったか。
「実は二人に頼みたいことが…」
『エルザ』
「その声は…キィナか!!」
フラフラとしながらも近くに寄ると、すっとエルザの手が伸びて引き寄せられ……ガシャンと行き着いた先は固い固い鎧の中。
『っつう…』
「元気そうで何よりだ」
立ちくらみに追い打ちをかけるように冷たい鉄の板にぎゅうぎゅうと押し付けられる。起きたばかりの体に悪い。
「ちょうどよかった。キィナも一緒に聞いてくれ。
仕事先で少々やっかいな話を耳にしてしまった。本来なら総長の判断をあおぐトコなんだが、早期解決がのぞましいと私は判断した。
三人の力を貸してほしい。ついてきてくれるな」
「え!?」
『ちょっ…』
「はい!?」
現状の把握すらままならない状態で畳み掛けるように強要された同行。さすがに動揺が隠せない。他に指名された2人も頭を抱えているようだ。
「ど…どういう事!!?」
「あのエルザが誰かを誘うトコなんか初めて見たぞ!!」
「それより…なんでキィナも一緒なんだ!?」
「やっぱできんじゃね!!?」
「いや、この場合補助でだろ」
当事者の私たちだけでなく、その場が驚きざわめいている。当然だ、S級魔導士の彼女はその辺の仕事なら他人の手など借りずとも容易に任務を遂行することができる。そんな彼女が、3人も助け(強制連行とも言う)を呼ぶなんて。
『え、エルザ!! 私は…』
「出発は明日だ。準備をしておけ」
エルザはそんな周りを気にする素振りも見せず、当事者の私すらも無視して淡々と話を進める。
「エルザと…ナツと…グレイと…キィナ…今まで想像したこともなかったけど……これって妖精の尻尾最強チームかも」
「!!」
「む…無理だ……」
エルザが行ってしまうと、グレイが口を開いた。
「こいつと一緒ってだけでうぜェのにエルザが一緒だなんてー!!!!」
「こんなチームありえねえっ!!! つーか行きたくねえーっ!!!」
最早お決まりのように言い争いを始める。
『やっぱり私…無理にでも却下した方がよかったのだろうか…』
先が思いやられ、ため息混じりに呟くと、二人の顔からさぁっと血の気が引いた。
「頼む…それはやめてくれ…」
「キィナがいることが唯一の救いなんだ…」
唯一なんて大げさな。元々断れない誘いが更に断れないじゃないか。
メンバー的には戦闘があると見て間違いない。だがそれなら補助するまでもなく彼ら二人で十分だと思うのだけれど…
どうして、私を連れて行くんだ?