FAIRY TAIL
□2
3ページ/8ページ
翌日。
「何でエルザみてーなバケモンがオレたちの力を借りてえんだよ」
「知らねえよ。つーか"助け"ならオレとキィナで十分なんだよ」
『いや…私必要ないだろ』
「そうだ!!! オマエ一人で行けよっ!!! オレは行きたくねえ!!!」
「じゃあ来んなよ!!! 後でエルザに殺されちまえ!!!」
「迷惑だからやめなさいっ!!!!」
口喧嘩がいつしか取っ組み合いになり、構内の輸送荷物を巻き込んで周囲に被害が出始めていた。
ルーシィはナツとチームを組んだのかと思いきや、先日の仕事で騙されたため解散したらしく、今回ついてきたのはミラさんの頼みだからよとふてくされたように言っていた。とはいえ、普通に近い感覚の持ち主が一緒にいるだけでなんだか少し心強い。ただでさえ暴走しがちなメンツが抑える人もなくひとところに集まると本当に気が滅入るんだ。
と、思っていたが。
「あ!! エルザさん!!!」
「今日も仲良くいってみよー」
「あいさー」
「これ面白いかも!!」
冷や汗を流しながら肩を組む二人と、それを見てお腹を抱え大笑いするルーシィ。彼女、結構えげつない。
「すまない…待たせたか?」
と言って、大量の荷物と共に現れたエルザに、ナツが挑戦状をたたきつける。ハッキリ言って無謀、でもこういう所がナツの良いところでもあると思う。
「おしっ!!! 燃えてきたァ!!!! やってやろうじゃねーかっ!!!!」
気合十分、威勢良く出発したのはいいけれど。
「なっさけねえなぁ、ナツはよォ」
聞こえてくるうめき声からすると、またひどい乗り物酔いのようだ。
「うっとおしいから別の席行けよ…つーか列車乗るな!! 走れ!!」
『それなら私も走っていいか?』
「きゃあっ!!! キィナどこから…」
「キィナには言ってねえよっ」
ひょっこりと窓から顔を出すとものすごい形相でルーシィに悲鳴をあげられてしまう。しまった、先に言っておくべきだったか。
私は今、列車の屋根にいる。大人しく座っていられないのと(外の空気を吸わないと実は酔いそうで)、あまり姿を見られたくないため、いつも上らせてもらっている。勿論、駅員に覚えられたくないから許可を取ったことはない。
「ていうか…話聞けるの?」
『音声のみの通信用魔水晶(ラクリマ)を持っているから問題ない』
「そうなんだ…」
呆れたような目でこちらを見るルーシィをよそに、私は定位置に戻った。
これから私を大きく動かす出来事が起こるとも知らずに。