FAIRY TAIL

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 ラクサスが奥に消えてもなお突っ伏したままのキィナに近づき、ポン、と軽くフードの上から頭に手を乗せた。
 いつもなら手を近づけるだけで「やめろ!!」と物凄い勢いで振り払われるのだが、今日はビクッと肩を強ばらせただけで動かなかった。

 どうしてミストガンの魔法が効かないのか、なぜラクサスがキィナまで目の敵にしているのか…聞きたい事が色々とあったけれど、そんな弱々しい姿を見ると声をかける気も失せてしまう。
 オレは少し苦笑いをすると、何も言わずに隣の席に座って、向こうから話しかけてくるのを待った。



『…何も、聞かないのか』

 いつの間にかギルドの視線がこちらに向いているとも知らないだろうキィナが、顔をほんの少しもたげて口を開く。

「話したくなさそーだったからな。無理に聞くのは気がひける」
『そうか…』

 しばらくまた黙り込むと、意を決したように深く息を吸った。

『私は、他人の状態異常を治すことはできないけれど、自分自身にはその類の魔法が効かないんだ。だからいくら強力でも、眠りの魔法は私には効果がない。
 …よく考えれば、こんなの隠すような事でもなかったな。今まで黙っていて悪かった』

 まくし立てる様に一気に話すと席を立ち、ふらふらと覚束ない足取りで驚きを隠せず沈黙するギルドを後にした。
 そんな白く小さな後ろ姿を、オレはただ呆然と眺めているしかできなかった。








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