FAIRY TAIL

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 テントに入ってきたグレイは、エルザに、そして次に私の存在に驚いた。
 睨みをきかせるエルザに始めはたじたじとしていたが、村や現状に興味はないと聞くと途端に目つきが変わった。剣を突きつけられてもものともしないどころか、剣先を握り傷つくのもいとわずドスの効いた声でエルザに刃向かった。

 血を流したままテントを後にするグレイがどこか遠くに行ってしまうように感じて、気がつけばなぜか走り出していた。



『グレイッ』

 叫ぶと、振り返って驚いた素振りを見せた。

「止めんなよ…オレはケジメをつけなきゃなんねぇんだ」

 そう言った彼の目に強い何かを感じて、どうしてか無性に寂しさを感じた。

『わかってる…私にグレイを止める事なんてできない。だけど、傷くらい、治させて…』

 新しくついた傷口に手を翳して傷を治す。グレイは私の様子を見て目を丸くしたけれど、すぐにふっと口元を緩めた。

『あんな事、二度としないでほしい…不要な傷を、無駄につけるんじゃない』
「ああ…悪かった。ありがとよ」

 そう言うと、すっと私の頭に手を近づける。何をするつもりか察した私は咄嗟に身を退け、グレイと距離をとった。
 急いだせいでフードを被っていない。今グレイが触れてしまえば、デリオラどころじゃない。
 何か言いたげな顔をしていたけれど、彼が口を開く前にエルザ達が追いついてきた。申し訳なく思いながらも、エルザ達のタイミングの良さに感謝して、例の遺跡へと走り出した。




 決してグレイが嫌いなわけじゃない。むしろ避け続ける私に普通に接してくれた彼に感謝している。けれど…私はグレイと同じような系譜の魔法を主に使う人に、直接触れることはできない。触れてしまえば、それこそもう妖精の尻尾にはいられない。

 私の我が儘のせいで、今でも彼等を危険に晒しているのに、その上を望んではいけない事も分かっているのに…


 …ギルドのみんなと、離れたくない…

 強く願ってしまうほど、妖精の尻尾は私の中でかけがえのない存在になっていた。








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