FAIRY TAIL
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「やっぱりシャバの空気はうめえ!!! 自由って素晴らしいっ!!! フリーダァーッム!!!」
仕事から帰ってくるなり、どうしたこの妙な空気は。
ギルドは疲労感全開なのに、ナツが一人ハイテンションで走り回っている。
『ルーシィ、これはどうしたんだ?』
「あら、おかえりキィナ。エルザが逮捕されたのよ」
『!!!?』
は…話が見えない!!! じゃあ目の前のエルザは誰なんだ、そしてどうしてナツがこんなに機嫌がいいんだ!!?
「でもけっきょく"形式だけ"の逮捕だったなんてね…心配して損しちゃった」
形式だけ? エルザ逮捕、ナツ、娑婆…
なるほど、だいたい理解できた。
ナツがまたやらかしたのか。
「そうか!! カエルの使いだけにすぐに"帰る"」
何か考え込んでいると思ったら、そんな事を考えていたのかグレイ。
「さ…さすが氷の魔導士。ハンパなくさみィ!!!」
『同感だエルフマン。殴っても良いか』
「うおっキィナ!! いつの間に!!!」
『真顔だったから余計にイラッときたぞ』
と言いつつ、手は出さずに大人しくルーシィの隣に座った。そもそも私がギルドの人に手を上げたことはないけれど。
「…で、エルザとの漢の勝負はどうなったんだよ、ナツ」
エルザとの勝負? …ああ、あの時の約束の。まだ終わってなかったのか。
「そうだ!!! 忘れてたっ!!!
エルザー!!! この前の続きだーっ!!!」
「よせ…疲れてるんだ」
「行くぞーっ!!!」
「やれやれ」
何かの予感を感じる。髪がふわりと風に漂った。
「「「!!!!」」」
おお、よく飛んだ。
向かってきたナツにエルザはハンマーで返り討ちにし、ついでにイスと机をいくらか崩壊させた。
そのまま壁にぶつかったナツは頭から血を流して気絶。
「仕方ない。始めようか」
「終ー了ー!!!」
一気に笑いにあふれるギルド。変に辛気くさいよりこっちの方が妖精の尻尾らしくて良い。
「ふぬ…」
「どうしました? マスター」
「いや…眠い…奴じゃ」
その言葉を合図に、ギルド内は次々と眠りに落ちていく。…ミストガンだ。
静かなギルドを悠々と歩くミストガンは、しばらく依頼板を見つめ、一枚取ってカウンターに置いた。
『あ…私が考えてたの』
「帰っていたのか、キィナ」
『ああ、まあな』
私は別に戻らない訳ではなくて、ギルドにいる時間が短いだけだ。私よりギルドにいない人に言われても、という言葉はぐっと飲み込んだ。
たまには魔法をかけずに帰ってきたらいいのにと思うが、それも解りきった事である。ミストガンは黙ってカウンターに背を向ける。
「行ってくる」
「これっ!! 眠りの魔法を解かんかっ!!!」
「伍…四…参…弐…壱」
『…行ってらっしゃい』
呟くと、もうミストガンの姿はそこにはなかった。
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