FAIRY TAIL

□5
1ページ/6ページ





 遺跡へと走りながら、私達はグレイの過去を知った。
 デリオラとの因縁、魔導士ウルとの出会い。彼は大切な人達を失い、そして今また壊されようとしている。
 静かに語る彼の声に、目を合わせた時と同じような強い意志が垣間見えた。




「遺跡が…傾いて…る?」
「どうなってんだー!!?」

 元から斜めかと思いきや、どうやら何らかの原因で傾いているようだ。

「ナツだな」

 ぼそっとグレイが言う。

「どうやったか知らねえが、こんなデタラメするのはあいつしかいねえ。
 狙ったのか偶然か…どちらにせよ、これで月の光はデリオラに当たらねえ」


 と、急に辺りに人の気配がした。

「見つけたぞ妖精の尻尾!!!」

 出てきたのは、覆面を被り怪しい宗教じみた服装をした団体。
 すっとエルザがその前に立った。

「行け。ここは私にまかせろ」
「エルザ…」
「リオンとの決着をつけてこい」

 しばらくグレイは呆気にとられていたが、やがてコクンと頷き、再び遺跡へ走っていった。


「よし、行くぞルーシィ」
「OK、エルザ」
『え、私は?』
「戦えんのだろう。下がって補佐を」

 …戦えない? 誰がそんなことを言ったんだ?
 考えていると私の両隣から敵が出てきた。

『エルザ…私は戦えるぞ』

 そう言ってかかってきた奴等を回し蹴りで一蹴した。



 エルザ達の驚くのをよそ目に、粗方片づいたと思うと、遺跡の方から強大な魔力。すぐに消えてしまったけど、今度は大きな地響きがしはじめた。

「何の音だ?」

 振り返ると…

「……そんな…傾いてた遺跡が…元に戻ってる……」






 耳をつんざく叫び声に、以前感じた頭痛が蘇る。

 この魔力の感覚は…ララバイと、同じ…

「な…何!? 今の声…!!? てか本当に声だった!?」
『ルーシィ、叫ばないで…頭に響く…』
「ちょっ、キィナ大丈夫!!?」
「村に戻るか?」
『大丈夫…』



 先へ進むと細々と光の筋が流れているのを見つけた。

「待って!!! あの光、見覚えあるよ!!! 月の雫…」
「デリオラの声はするが、"月の雫"の儀式は続行されている。つまりデリオラの復活はまだ完全ではないという事」

 そう言ってエルザは上へ向かう階段に走っていく。儀式自体を止めにいくという。

「来い!!」
「え!? デリオラは下だよ」
「儀式をたたけばまだ阻止できる!!! 急げ!!!」
『なら、私が下に行く。それでいい?』
「…わかった。無理しないでよ!!」


 ルーシィ達は上へ、私は下へ急いだ。









 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ