FAIRY TAIL

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 その話を聞いたのは、エクシードの兵たちが周辺に見回りに来たときだった。

「そういえば、聞いたか? アースランドに出ていたエクシードが帰ってきたってよ!!!」
「ああ、青いのと白いのだろ? 見事に任務を完遂してきたんだってな!!!」

 女王とその側近たちしか私を知らない上、私は死んだことになっているから姿を見せることもできない。その時は倉庫にしばらく隠れてやりすごし、夕食の最中に話題に出してみた。

「昼頃に兵たちが騒いでいたんですが、青と白のエクシードが任務を成功させてアースランドから帰ったそうです…でもアースランドって、何なんですか?」

 すると、夫婦は口元に持っていったスプーンをピタリと止め、テーリャは手に持ったパンをポトリと落とした。

「ねえあなた、もしかして私たちの…」
「かーっ!!! そんなわけあるか!!! あそこには100のエクシードが送られたんだ!!! そんな奇跡あるわけねえ!!!!」
「そうよね、きっと別のエクシードの子ね…」
「…アース、ランド……」

 三者三様の反応がますます私を混乱させる。夫婦はしゅんとして淋しげだし、テーリャは焦点の定まっていなかった瞳に次第に光を灯していく。
 そして突然、ガタンとテーリャは立ち上がった。

「ラッキーさん、マールさん…私、ちょっと出てきます!!!」

 言うが早いか、彼女は真っ白のローブを身に纏って外へ飛び出した。私には何のことだかさっぱり。

「ええ? テーリャ?」
「かーっ!!! 食事中に飛び出すなんざ、普通やっちゃあいけねえよ!!!」
「まあまあ、普通じゃないからいいんじゃないかしら?」

 クスクスと笑みをこぼすマールさんにおずおずと尋ねる。

「あ、あの…アースランドって何ですか?」
「ああ、アースランドはね…こことは別の、魔力に溢れた世界のことよ」

 返ってきた返答に、私は一瞬思考が停止した。パラレルワールド、ということか? そんなものが存在するなんて…

「「そんなものが存在するなんて」って顔してるわね。でも本当にあるのよ。エリュシオス家のあなたが知らないのは驚きだけど…テーリャちゃんはそこで生まれたし、私たちの子も…」

 言いかけてふっと口をふさいだ。目には涙が浮かんでいる。どうやら私は良くないことを聞いてしまったらしい。ごめんなさいと謝って、そこから夕食を終えるまで言葉を交わすことはなかったが、私の中でずっとくすぶっていた疑問が、ひとつ解けた気がした。

(だけどそれだけのことで私の両親は…)

 もうひとつの疑問は、依然として残ったままだけれど。









 
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