FAIRY TAIL

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 エドルーシィについていったはいいものの、途中で少し気になるにおいがして、ふらふらと森の中へ立ち寄ってしまった。気づいたときには彼女のにおいを辿れなくなってしまって迷子状態。なんてことだ、私のバカ。夜も近くなって、仕方がないからそのにおいのするところまで歩いていった。
 少し行くと水のにおい。ちょうど喉も乾いたし、気になるにおいもそこからしてくるようだ。やや走りぎみに先へ進むと、木々の向こうから見えたのは…ずらりと並んだ十字架の数々。後ろは星の光を乱反射する少し小さめの湖。隣を見ると、何かの祭壇と小さな家がある。人はいなさそうだが住んでいたような形跡は残っている。

『さしずめ、葬儀屋ってところか…』

 これは気まずい場所についてしまった。少し拝んでから離れようかと振り返ろうとした刹那、ちらりと目の端に映った十字架の文字。一番湖に近い、ひとつだけ雰囲気の異なったその十字架の主は…

『わた、し……?』

 …キィナ・エリュシオス 767年〜783年。私の、墓だった。
 パキン。その時背後で物音がした。結構近くなのにここまで来て気づかなかったなんて、私の五感も鈍ったようだ。咄嗟に振り返って後ろに飛んで距離を置く。森の奥から出てくる大きな影に目をこらし、星明かりがその顔を照らし出した瞬間、私は自分の目を疑った。

「キィナ…?」
『グレイ……!!?』

 これでもかと厚着に厚着を重ねたエドグレイが、私と同じように目を見開いていた。









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