FAIRY TAIL

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 翌朝、まだ涼しいうちに森を抜けて広野を走っていると前方に人影が見えた。髪の長さも雰囲気も違うけれど、あの後ろ姿、まるで…

「ルーシィ!!! 久しぶりだなァ!!! どうしたんだその髪!!!!」
『そう、ルーシィそっくり…って、ええ?』

 目の前の人物はエドルーシィその人だった。彼女はこちらを振り返ると満面の笑みを浮かべた。

「ナツ!!! おまえ今までどこ行ってたんだよ!!! 心配かけやがって…オラ!! 降りろ!!!」

 …やばい、この人本当に怖い。ルーシィとは思えない。車から引きずり降ろされへたったナツはルーシィにこめかみをグリグリされている。

「そ、それよりルーシィさん、ボクお話が…」
「話? ちょうどいい、あたしも話があ…る……!!?」
『!!!』

 バチッと目が合い一瞬思考がフリーズ。エドルーシィもありえない、という顔で私を見ていたけれど、すぐに真面目な顔になった。

「アンタ、エリュシオスじゃないよね。アースランドの人間だろ」

 アースランド? …ああ、私達の世界のことか。え、でも何で知ってるんだ? もしかして…

『他にも、魔水晶になっていない人がいるのか!?』
「ああ、アースランドのナツとウェンディがギルドに来て、ルーエンで向こうのあたしと合流した」
『そうなのか…よかった、無事で…』
「今は王都に向かっているそうだ。それでナツ、話なんだけどな、あいつらを拾ってすぐ近くまで送ってってやってくれない?」
『「え、王都…」』
「なんだ、文句あるのか?」

 私達、今そこから来たんです、なんて口が裂けても言えない。エドルーシィに何されるか分からない。エドナツは全力で首を横に振った。

「ルーシィさんはどうするの?」
「あたしはギルドに帰る。アンタたちもしかしてギルドに向かってた?」
『そうなんだ、でもナツたちが王都に行ったってことは、魔水晶はそっちにあったのか…』

 魔水晶のある場所から逆に離れてしまったのは相当ショックを受けた。だが滅竜魔法の使えない私が王都で出来ることは無いだろう。追われて捕まって、迷惑をかけるだけだ。それならば、私に出来ることは何だろう。

「王都に行くか?」
『…いや、私一人が行ったところで何の役にも立たないだろう』

 ナツたちと合流して王都に乗り込むのもアリかと思ったが、王都では一悶着起こしてきたばかりだ。王国が探しているらしい滅竜魔導士だということもあって、今頃軍の連中が私のことを血眼になって捜しているはずだ。私が今王都に戻るのは良くないだろう。だけど、それでも…

『本当は私達の問題なんだ。だけど王国軍を目の当たりにした私としては、自分たちだけで解決できるとは思えない。それでも私は…仲間を助けたい。
 こんなことを貴方たちに頼むのは間違っているかもしれないが…私達と、一緒に戦ってほしいんだ』

 お願いします、と頭を下げると、エドルーシィはそっと私を包み込んだ。

「顔上げなよ。仲間を助けたいって思うのは当然だろ? あたしも今から説得しに行くところだったんだ。アンタがいてくれるとあたしも心強いよ」

 エドラスとアースランド、双方の妖精の尻尾のために王国軍と交戦する。そう言ったエドルーシィの目は、私の知るルーシィと同じようにまっすぐで、強い意志を宿していた。









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