FAIRY TAIL
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私がもっと早く女王に会いに行っていれば、彼女らはこんな目にあわずに済んだのだろうか。過ぎたことを後悔しても仕方ないのは分かっているけれど、街中のエクシードに囲まれ痛々しく傷だらけのシャルルたちを見てそう思った。再び石を手にしたエクシードを見つけ、私を掴んで飛んでいたウィステリアを急かし、飛んでくるであろう石から庇えるようにぎゅっとシャルルを抱きしめた。
「なんで…キィナ…」
「遅くなってごめんなさい、だけどもう大丈夫」
予期していた衝撃は感じなかった。後ろでナディさんが盾になってくれたのだ。
「お久しぶりです、キィナさん…ご無事で……」
「ナディさん、公務を1年も放棄して申し訳ありませんでした」
ほんの少し涙を浮かべたナディさんは、小さくほほえむと再びエクシードたちに向き直った。突然の私たちの登場とナディさんの思わぬ行動に場は騒然としている。
「この人たちはぼきゅたちに危険を知らせてくれたんだよ。でも…誰も聞かなかったからこんな事になっちゃったんだ」
「何を言っているんです!?」
「こんなの女王様の魔法があればぜんぜんへっちゃら!!!」
「怖くなんてないっス!!!」
「さあ…早く女王様ー!!!」
けれど混乱に混乱を呼んで、どよめきは大きくなるばかり。おろおろとうろたえるナディさんにエクシードたちは徐々に詰め寄っていく。ちらりとこちらを向いて助けを求めるナディさんに、私は「もうすぐ」と声に出さずに口を動かした――
「もういいのです、ナディ」
ざわつく広場に静かに響きわたる落ち着いた声。気がついた者から目を見開き、頭を下げる。ひざまずく先にいるのは、エクスタリア女王、シャゴットだった。