FAIRY TAIL

□26
4ページ/6ページ




「みなさん…どうかお顔を上げてください。そして落ち着いて私の言葉を聞いてください」

 ゆっくり、ゆっくりと言葉を紡いでいく女王、シャゴット。装飾品を投げ捨て、上着を取り払い、あらわになったのは……片翼。
 息をのみ目を見開くエクシードたちに、長老たちが説明を加える。あんなに拒否し続けていた彼らが何を思ったのか分からないけれど、きっとこのままではいけないという思いが、心のどこかにあったのだろう。
 そんな風に気をとられていると、突然ボフンという音が聞こえ、視界が、高くなった。続いてカランカランと固いものが転がる音。ハッとして辺りを見回すと、一回りも二回りも小さくなった世界、朱色の袴。シャルルの足元に転がる剣、ざわめく天使たち。

「私の罪はあなたの手で裁いてください。人間もエクシードも両方愛せるあなたにこそ、その権利があります」

 何が起こったのか分からない。けれど、私の白と黒の鈴にこめられた変身魔法がどういうつもりか強制解除され、女王が何らかの責任を一心に背負って罪をあがなおうとしていることは何とか理解できた。

「何をしているんです!!! こんなところであなたは終わってはいけない!!!
 シャルル、お願いだからその剣は手に取らないで!!!!」

 私の思いも虚しく、シャルルはゆっくりと剣を手に取り、頭を垂れる女王に向かって振り下ろした。



「勝手にあきらめてるんじゃないわよ!!!!!」

 ザシュッと音がしたのはシャゴットからではなく、シャルルの前の地面から。誰もが固唾を飲んで見つめる中、彼女は必死に国民を説得する。酷いことをされたはずなのに、この国のために、涙を流しながら。

「自分たちの国でしょ!!!! 神や女王がいなきゃ何もできないの!!!?
 この国は滅びない!!!! 私の故郷だもん!!!!! なくなったりしないんだから!!!!!
 私はあきらめない!!!! 絶対止めてやる!!!!」

 言うなり猛スピードで飛び出していき、あっという間にその姿は空の向こうに消えていった。誰もが立ちつくし、呆然とする中で、バサリと翼を広げたのはナディさん。

「ぼ…ぼきゅも行ってくるよ……この国が大好きだから」

 その言葉を皮切りに、次々と飛び立っていくエクシード。私もウィステリアと顔を見合わせ、魔水晶がぶつかったと思われる方向に飛び出した。





*****
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ