TF小説
□True Love
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「True love …。」
「突然なんだ?」
ソファーに腰掛けたまま呟いた相手に聞いてみる。
「真実の愛、という意味だ。」
「それくらいわかる。なぜ突然そんなことを言うのかと聞いている。」
隣で小さく笑うとコーヒーの入ったカップを持ち奴は言う。
「私たちの愛は真実の愛、なんだろうかとな…。」
どこか寂しそうに呟く奴に俺は顔をしかめる。
「俺はお前を愛している。真実だぞ?まぁ欺瞞にまみれた俺が言うのはおかしいかもしれんがな。」
冷め始めたコーヒーを一口飲み思ったことをそのまま言ってやる。
「私も君を愛している。もちろん真実だ。」
ならば良いではないかと言おうとした俺の言葉は出てこなかった。
「君を愛しているからこそ君になら殺されてもいいし私は君を殺したい。」
ああ、全く。狂っているな。俺もお前も。
「それなら俺も同じだ。お前を愛しているからこそお前に殺されてもいいしお前を殺したい。」
つまりは相思相愛。俺もこいつもお互いに愛しお互いに狂っている。
「それも良いかもしれんな…。」
何が?と首を傾げる奴の額に軽い口付けを落とし一言言ってやる。
「なんでもない。ただ俺はお前を愛しているし狂っている。ただそれだけだ。」
俺の言葉に笑みを溢す相手に笑いかけつくづく甘くなった自分自身に心の中で苦笑した。