ハートの志(ONE PIECE長編、完結)
□一 Octoberのソラ
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北の海、ノースブルーと呼ばれるその海は年中ほぼ雪に覆われている島であった。
人間より自然や動物が多いが、人間達によりある一角に町が栄え、魚介類が特産物となっていた。
右見ても左を見ても森。唯一海に面した町。これが島の地形であった。
今日はその町から少し離れた家で、女達がせわしなく動いていた。
産まれる! の言葉が、風を伝ってそれは一人の男の耳にも届く。
男はそれに対し動きもせず、ただ木の幹に座って居た。
反対に彼らを取り巻く大の男達が暴れまわる有様だ。
途中、年配の女が出てきて男達を一括し、また家の中へと入って行った。
そして暫くすると、元気な声がして辺りを騒がせた。
<その男の子は、隈があった>
産まれて早々、男の子は目を開いた。
目を開いた先には驚きながらも笑う女の人達。そしてその横にはスラリとした男の人が立っていた。
二人は、男の子を見て笑い合い。綺麗な手で男の子の頭を撫でていた。
「んぎゃぁ」
「あらまぁ」
第一声がそんな声だから男の子は驚いた。まさかそんな声が出ると思わなかったから。
女の人も男の人も、嬉しそうにするだけで男の人はそのまま部屋から出て行った。
そして男の子は再び女の人を見る。
(デカイ)
思うのはそれだった。
周りから聞こえる楽しそうな声。その声が子守唄のように聞こえ、男の子は眠りに落ちた。