ハートの志(ONE PIECE長編、完結)
□五 時代の始まり
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外は嵐。目指すはレッドライン。
だがロー達は未だレッドラインに行かず嵐の中海中に潜り航海していた。
「キャプテン、どうしたんだろ」
船で、特にやる事も無いのかベポとシャチとペンギンは皆同じ部屋に集まっていた。
「ローさん部屋に籠っちまうしなー」
ベポとシャチはテーブルに頭を付け、うなだれていた。
そう。ローグタウンを出てから。
ローは暫くこの辺を航海してる、と言うのだ。
グランドラインを目前にしてまさかの停滞。新しいつなぎ服を着て意気揚揚としていた二人は今あの状況になっている訳だ。
ペンギンはそんな二人を見ているだけで、ローが部屋から出てくるのをただ待っていた。
ローはというと。
部屋に誰も入るなと宣告し、自身の椅子に座っていた。
椅子の近くには机。その上には沢山の消毒液。
左手にはローグタウンで貰った針を持っていた。
針の先を火で炙ると。
その針の先を手の甲に刺し、ある形を象っていった。
「…つっ」
ピリピリした痛みを襲うが、ローは満足がいくまで針を動かす。
手の甲、指の間、腕。
右腕を終えた時にひと息入れた。
ローが今やっているのは刺青だった。
彫った所に色を入れていき、終わったら液を掛け腕に包帯を巻いて行く。
それを左も同じようにしていけば、ゆうに二時間は超えた。
DEDTHの文字を指の間、手の甲に。あと自分で考えた模様を手の甲と腕に。
(…まぁ、上出来だな)
まだ毒々しく赤みがあるが、血が引けばまともになるだろう、と。
左腕にも包帯を巻く。
また一息つくと、入るなと宣告していたのに突然ノックが聞こえてきた。
コンコン、と何度も。ローが返事をしなければいつまでも叩いているのだろうか。
そう思い黙っててみると本当にやまないノック。
(扉が血だらけになったらたまらねぇな)
煩いノック音に痺れを切らしたローは扉の近くまで行き。扉を開ければ……
勢いよく、それもローにのし掛かるようにベポが飛びついて来た。