□朝の挨拶
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朝の挨拶



まだ肌寒い朝に、高杉は窓辺に背中を預け、膝元に土方を寝かせて煙管を燻らしていた。

スー、スーと安らかな寝息をたてて眠る土方の頭をゆっくり撫でて愛しそうに見下ろす。


「……十四郎」

高杉は愛しさが余るばかりか、体を折り曲げて土方の前髪をそっと上げ、額にキスを落とした。

すると土方は微かに身動きをして目を開いた。


「……晋、助…」

寝起きの所為なのか、掠れた声で応えてまだぼんやりする頭で高杉を見上げた。
それに対し高杉は微笑んで目許や頬にキスをたくさん降らせる。

「…おはよう」

朝の挨拶をすると、土方は嬉しそうにはにかんだ。

「……ん、おはよ、う」

途切れ途切れに呟きながら土方は高杉の首元に腕を回した。それを受け入れて支えるように高杉は土方の脇下に手をいれた。

楽な体制にさせる為、高杉は土方を持ち上げて胡座をかいた膝に座らせた。
そうすると土方は密着してぎゅーっと高杉の肩口に顔を埋めて安定した。

「…晋助」

「ん?」

「晋ー助…」

「何だ?」

「晋助ー…」

「だから何だよ」

何度も名を呼ぶ土方に対して高杉はゆるりと笑う。

「…ふっ」

きつく腕を回しながら土方は笑った。

「どうした?」

高杉が問い掛けると土方は高杉の首から腕を外し、高杉の頬に優しく触れた。

「…呼べば、すぐそこに居るって良いよな」

「………」

目許を緩めて笑う土方に高杉は何も言えなくて、代わりにキスを送った。


「んッ、」

きつく、だけど激しくならないように口の中を犯せば土方は高杉の肩に手をのせて自分からも応える。

「んンッ、ふっ…」

最後にちゅっ―…と離すと互いから銀の糸がいやらしく引いた。


「…愛してる」

想いを口にすれば、土方はふわりと嬉しそうに微笑んだ。


「俺も…愛してる」


互いに微笑んで、抱き締め合った。


離れている日々が多いとしても、この温もりを手放せる訳がない。

手を伸ばしても、俺は居ないけど、俺はけしてお前の前から消えない。

聖なる夜の日ぐらい、お前を名いっぱい愛そう。



end

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