読
□今キミの隣に
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一人ぼっちな君の傍に居たい
真夜中の公園のベンチに人が寝転がっていて、土方は見下ろすと高杉がベンチに寝ていた。
一粒の涙を流して。
「………松、陽先生…」
夢を見ているのか涙を流しながら小さく呟いた高杉に土方はどうする事も出来ずただ突っ立っていたが、高杉の頭の横に座って紫紺の髪を上から優しく撫でた。
(…傍にいる事しか出来ねェ…)
土方は何も出来ずにいる事が悔しく思いながらも哀しい涙を流す高杉を見下ろす。
*
半時ぐらい片手に煙草を吸いながらずっと撫でていたら高杉が身動きして頭を少し上げて起きた。
顔色を窺う為、上から見下ろすと目と目が合う。
「……?」
土方の事を知らない高杉はなんで知らない奴に頭を撫でられてンだと怪訝な顔しながら目を点にさせて土方を見上げた。
涙の痕を頬に残す高杉を土方はなんとも言えない気持ちで煙を吐いた。
「……誰だ?」
首を傾げて聞く高杉に先程すれ違った筈なんだが…と頭の隅に思うもののあえて口にしないで煙草を靴底で消し、髪を撫でながら口を開く。
「真選組副長の土方十四郎だ」
「…真選組……あァ、あの鬼の副長さんか、知っているぜ」
涙を流していたとは思えないぐらいにさっきと打って変わって高杉はカラリと笑った。
が、笑った際に目端に残っていた涙が頬を伝って滑り落ちた。
「……っ?」
高杉は濡れた頬に触れて目を見開き、土方はそんな高杉の頬をハンカチで拭いた。
「…大丈夫か?」
暫く何も言えず土方を見つめた高杉だったが冷静になると可笑しそうに肩を震わせながら土方の肩に頭を乗せて寄りかかった。
「…ククッ…そうか、夢…だったンだな」
肩に重みを感じながら土方は笑っているのに哀しそうに呟く高杉の頭を自分に引き寄せる。
「……ッ…」
すると高杉は声を殺して土方の肩を濡らして泣いた。
土方はそれをただ黙ってずっと傍に居た。
end
―――――
すみません、高杉さんがヘタレ過ぎました…(-_-;)
多分、続きますので次回はかっこいい高杉さんにしたいと頑張ります。因みに、高土であって土高ではありません、高杉さんや桂さんはテロなど行っておりません。
ただの暇人です。