□王の帰還
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Xanxus・・・お前が氷に眠らされてから早7年も過ぎた・・・。

けれど、オレの時間もお前と共に止まったままだ・・・どんなに足掻いたってお前を助けることなんてオレには出来ないーーー・・・。


オレは自分の無力さが悔しい、お前の剣だと大口を叩いておきながらお前を守れなかった。
この7年、何度死にたくなったか・・・でもお前が眠っているだけでちゃんと生きていると分かっているからオレは涙を流すことをやめてお前がいつ起きても良いように下げたくもない頭を狸じじい共に下げて、お前の席であるヴァリアーをなんとか維持させた。まぁ、あの忌々しいオッタビオが邪魔だったがな・・・。

まだ8歳だったベルフェゴールやルッスリーア達を庇いながら自分一人でヴァリアーを維持させるのは楽じゃなかったが冷たい氷に包まれているお前に比べてみれば造作ない事だ。


だからちゃんと・・・ちゃんとお前の席を用意してお前が起きるまでオレはずっと待っているからよぉ・・・・・・


早く、帰ってきてくれ・・・Xanxus・・・。









『Xanxus・・・?Xanxus・・・っ?!』


Xanxusが氷に眠らされてから8年もの月日が過ぎた。

ある日、スクアーロが本部に呼ばれてヴァリアー本部の屋敷に戻ってくれば何か様子が可笑しいと違和感を感じる。
周りは至っていつも通りだが、スクアーロの勘が何かを知られてくる。

胸騒ぎがしてスクアーロは屋敷の地下へと向かった。

暗い地下の階段を下りながらもスクアーロの心臓は激しく運動を繰り返して苦しい。
最後の階段を下り扉に辿り着くと重く頑丈な扉を開ける、すると中から勢いよく冷気が外へと流れスクアーロの白銀の長髪を靡かせた。

薄暗い中を見渡すと、鎖で厳重に巻かれていた筈の氷が溶けていた。

氷が溶けた水溜まりの中には目を閉じたまま横たわる長年ずっと待っていた男が。

驚きの余りスクアーロは目を見開いて固まったが一瞬で我に返ると直ぐに愛しい男の元へと走り寄って膝を折り曲げて床に膝を付くと未だ目を閉じている男・Xanxusの頬に触れた。


『・・・Xan、xus・・・っ』

触れた頬はずっと氷の中にいたからか、凄く冷たかった。

けれどちゃんと命の鼓動を感じ、次の瞬間スクアーロは8年もの間一度も流さなかった涙を流し、次々と止まることを知らないかのように溢れ出してXanxusの頬を濡らした。

『っ・・・Xanxus、Xanxus・・・っ!!』


「・・・・・・っっ・・・」

スクアーロの必死の呼び掛けにXanxusは小さな呻きを溢すとうっすらと目を開けた。
現れた宝石のルビーよりも美しい紅い瞳を見つめてスクアーロは溜まらず声を上げてXanxusを抱き締めて泣いた。


まだ何がなんだか理解出来ずにいるXanxusだか、しかし泣き喚くスクアーロの頭をそっとゆっくり撫でた。


「・・・・・・ス・・・ク、アーロ・・・」

8年も出せなかった声は掠れて小さかったが、自分の名を呼んでくれたと分かったスクアーロは更に泣きじゃくった。


今、泣きじゃくる鮫だけの王は帰って来た。

膨大な憤怒の炎を身に宿しながら。



end

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