読
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ただ、会いたかった。
「総、督・・・・・・」
「・・・十四、郎・・・」
共に過ごしたあの時に桜の木。
何で・・・今更・・・。
敵同士・・・相容れない関係になったのに、何で・・・。
総督は俺の隊服を見て、苦虫を噛み潰したような顔をして俯くと拳を握りしめた。
あぁ・・・総督を裏切っているンだな、俺は・・・。
何で・・・今更・・・っ。
危険に晒さないように、突き放したのに・・・今のお前は危険の中にいる・・・何で・・・。
十四郎は俺の左目、包帯に覆われた左目を見て悲しそうにまるで自分が怪我したみたいに泣きそうな面をした。
あぁ・・・俺はこいつを泣かせるばかりだな・・・。
ーーーーーーーそれでも、
「っ・・・総督!!」
「十四郎っ・・・!!」
それでも、貴方だけに会いたかった。
end