ぴんきーれいやー

□第11Q
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体育館や校庭でみんなが汗を流して頑張っているが私はひとり、クーラーの聞いた快適な部室で時間を潰していた。


運動部の人たちには申し訳ない気もするが、私もこの後汗をかくことになるから許してほしい。



今日は部室の掃除に来ている。

暑いのにわざわざ学校に来て掃除だけして帰るのはなんか勿体ない気がして、いつもならば適当に字を書いてから帰るのだけれど、今日はそんな気になれなくてぼーっとしながら時間を潰していた。


実はこの後稽古があるのだ。


今日は時間の関係で直接行かないと間に合わない。必要な道具は全部持ってこなきゃいけなかったから大変だった。はぁ。これからまたもって歩くのかと思うと気が重くなった。


大きなあくびをひとつもらすと普段なら開くことがない扉が開いた。それは部員が一人だから、私以外開ける人がいないってこと。でも開ける人がいるとしたらあの人しかいない。




「よっ。」

『どーも。今日はどうしたんですか?』

「それがよぉ!」




わが書道部顧問山田太郎ことタローちゃんだ。タローちゃんはこうして度々フラりと部室にやって来る。そして、




「とか言ってきてよ。マジあり得ねぇだろ!」




私に愚痴を溢しに来るのだ。“私はあんたの相談役か!”ってツッコミたくなる時もあるが、どの話も聞いていて面白いので黙っている。

これはいい暇潰しになると思っていたところでタローちゃんの視線が動いた。




「お前剣道やってんのか?」

『あ、はい。』




唐突に聞いてくるものだから少し戸惑った。するとタローちゃんは“マジか”と呟いた。

マジですけど。




「俺も剣道やってたんだよ。」

『へぇ。そうなんですか・・・、ってえぇ!??』




う、ウソでしょ!?タローちゃんが、剣道!?いつもダルそうにして、いかに手抜きで仕事をするかと考えているあのタローちゃんが!?

するとビシィッ!と指差された。




「お前今ぜっったい失礼なこと考えてだろ。」

『そ、そんなことないですよ。』




不審がるようにジロジロ私を見た後、すくっと立ち上がった。




「おい、それもってこい。」

『は?』

「俺は剣道場の鍵とってくっから。」

『・・・・・・は?』




“俺とやってみねーか?”とニヤリと妖しく笑いながら言った。タローちゃんの目には鋭いものが光っていて、全身の血がわっと熱くなるのを感じた。
タローちゃんが強いは今ので十分分かった。何年もやっているとこういうのはすぐ分かってしまう。

なんだかうずうずして私は走って剣道場に向かった。



絶対負けないんだからっ・・・・・・!!!




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