小説(DEATH NOTE)

□joker×joker[finale.](連載中)
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  joker×joker [finale.]




広々として窓一つない長い廊下を“私”は歩いていた。

人影はなく、廊下で響くのは自分の足音のみ。

その広さ故、遅れて反響する規則正しい音が、孤独感を一層深め――全てが無機質な白に覆われている所為で、何処までも続いていて果てがないような奇妙な錯覚に襲われる。

ここに来るたびに感じる、追い立てられるような終点に辿り着かないような焦燥感が癪に触るので、我ながら子供っぽい行動だと思うがつい速度を落とす。


――のんびり歩いても、いつかは辿り着くのだ。


それが例え――己の唯一苦手な相手の所でも。


  ****


それから程なくして15フィート(*約4m57cm)はあろうかという、大きな扉の前に立った。

“私”の持つ『鍵』に反応し、銀行の金庫室並に分厚い装甲扉は、ゆっくりと――その見かけに反して静かに開き。

“私”が中に入り奥へと進むと、背後で微かな擦過音を立てて扉が閉まる。
構わず先へと進み、それから更に同じように大きく強固な2つの扉を経て、今までのものに比べて格段に小さな扉に辿り着いた。

中に居る人物が立ち上がれば丁度顔の見える位置に、格子の嵌った扉。

“私”が、今までの『鍵』とは違う、もう一つの『鍵』を差し込むと扉が開く。

部屋の中に入ると、更に天井まである白い格子を間に挟んだ向こう側に――『彼』は居た。

書棚に囲まれた書斎のような空間で、『彼』は、椅子に座り本に落としていた視線を上げて、顔を向け“私”を認めると、本を閉じた。



「―――やはり来たね」


『彼』は立ち上がって、白い格子越しに“私”に声を掛け。
そしてこちらに歩み寄ると『彼』は格子を縋るように掴んだ。


――まるで恋しい恋人が訪れたかのように。




「来ると思っていたよ―――“L”」



白で纏められた装いに身を包んだ『彼』――リンド・L・テイラーは、睦言を語りかけるようにそう囁いて……嗤った。
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