hp*

□しらゆき
1ページ/2ページ



冬のホグワーツは
真っ白な雪をかぶる、一面銀世界

校舎も、そして彼らの立つ中庭も
白い雪が染め上げる



「ねぇ、フレッド」
そう言ってぎゅ、とつないだ手を握る

「なんだい、ジョージ」
答えて一言、優しく握り返す


双子の赤毛は真っ白な中庭に、微かに2つ足跡をつけていた


「ねぇ、寒い?」
横を向いて尋ねる
肩をつけているのでとても近く

「あぁ、寒いさ」
こちらも横を向く
真正面には自分と同じ赤い顔


ふと、片割れが空を仰ぐ
はぁ、と息をひと吹き


「ねぇ、フレッド?」
もう片割れは、その声に答えて空を仰いだ

「なんだい、ジョージ?」
白い空
いつものように青くなく、
雨の日みたいに灰色じゃない



「もしかしたら…
寒くないのかもしれないよ?」
「え?」
「ほら」


そう言って白い空に向かって
息をひと吹き

これだけ寒いはずなのに、
いつもなら白くなる息が
今日は何も見えない

目を丸くした片割れは真似して息を吐いたが、
やはり白くはならなかった



「おもしろいだろ?」


得意気に言う口から
もれる息も白く見えなくて

少し見とれて、少し悔しくて


「し、白くなるとこ探してやる!!」


そう言って走り出す片割れ
くん、と引っ張られて走り出すもう片割れ

「なっ、なんで手ぇつないだままなんだよっ!離せっ!」
「いーやだっ!!」

段々と、いつもの笑顔を取り戻してくる
にやり、と口の端をつりあげて

「な、なんでだよっ!」
「なんでだと思う?」

意地悪く笑う片割れを見て、同じように笑顔になる



「「俺たちはふたりでひとつだから」」



声を合わせて
顔を見あわせて

けらけらと笑った



2人で走り回って
息を吹きかけて


それでも中庭は真っ白で

「「あった!!」」


見つけたのは、
2人でのぼった木の上の
小さな小さな赤いつぼみ

「「せーの」」


ふたりで息を吹きかけて
白くなったのを見てまた
ぎゅ、とお互いにつないだ手をにぎって
夢中でキスをした

当然、バランスを崩して木から落ちたけど
ずっとずっと手は離さずに


雪をかぶって
またけらけらと笑いあった







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ