幸せのイデア

□感情
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お昼時、2人はばれないように部屋を出た。
廊下の突き当たりを右。
研究室までの道のりはただそれだけだったが、果てしなく長く感じた。
『ちょっと待ってて』
りくはそう囁くとユアを植木の影にかくして誰もいないか小走りに確認しにいった。
『大丈夫。誰もいないよ』
しばらくしてりくが戻ってきてそう言った。
2人が研究室にたどり着き、中に入ったとき、ドアが開いて科学者達が数名入ってきた。2人は慌てて物の影に隠れた。

『例のあれ、どうします?』
『とりあえずデータはとっておけ。次回作を作るときに役に立つだろう。』
『本体はどう処分しますかね?』
『上からの命令で1週間待つそうだ。まだ分からないからな。』
『声のないボーカロイドねぇ…待つ意味が私にはよく分かりませんよ。まぁでも、上の命令じゃしょうがないか』
科学者たちはそんな会話を繰り広げていた。
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