魔法長編/星

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今日から授業が始まる。ウキウキとした気持ちで制服に着替えていると、セブルスはさっさと着替えを済ませた様で、授業の準備までしていた。

「ちょ、ネクタイどうすればいいんだよ!?セブルスー教えてー」

日本で生活して、子供がネクタイをすることがあるだろうか。制服指定の学校でも、それをしている所は少ない様に思う。さも当たり前の様に、シュルシュルと結んでいたセブルスに助けを求めるが、眉間にシワを寄せられただけだった。

「……僕はもう行くぞ」

「え!?待って!!おれも行く!!」

ネクタイは諦めてポケットの中に突っ込む。必要な教科書を風呂敷の上に乗せていく。セブルスの腕にある教科書を見ながら積み上げているのだが。

「何その本!授業でいるの?おれ持ってない!!」

見付けた物から積み上げていたが、セブルスの腕の中にある、一番上の本は見たことがない本だった。

「これは読書用だ」

「まじかー良かったー…」

初っ端から忘れ物をするのは印象が悪い。それは避けたかった。群青色の風呂敷を器用に結び、お手製の手持ち袋に仕上げる。ひょいと持ち上げ、セブルスに視線を移すと、セブルスは風呂敷をじっと見ていた。

「これ、風呂敷っていうんだけど、日本の物なんだ。『日本文化を海外に広めよう大作戦』をね、実行してんだよ」

昔の大学生が、風呂敷に教科書を包んで登校していたというのを聞いたことがあった。それを両親に言ったところ、この作戦を練ったのだ。今は寒くて浴衣も甚平も着れないが、暖かくなってきたら部屋着に甚平(たまに浴衣)を着ようと考えている。

「……布切れ一枚で、良くそんな物が作れるな」

「良かったらセブルスもどう?いろんな色の風呂敷を持ってきたから、これをやりたくなったらいつでも言ってな!」

セブルスは、少しの間思案する表情をし、小さな声で「今はいい。」と言った。ニッと笑って、セブルスの肩を叩く。

「よし!じゃあ取り敢えず朝食だ!!」

そうして元気よく、大広間に向かうのだった。


―――…

「……げー……何これ……朝からこんなもん食えるわけねーじゃん」

朝食はいつも決まって、味噌汁、白米、焼き魚だったため、油でギトギトした物が並んだテーブルにげっそりとした。

「パンとサラダでも食べておけ」

「仕方ないなぁ……味噌汁と白米がいいんだけど……校長先生に言ってみようかな。何とかなんねーかな」

「……ならないと思うが」

「だよなー…」

しょんぼりとしながらサラダを突く。朝食はもっとヘルシーな物にすればいいのに。隣で、目玉焼きとベーコン、そしてパンを食べるセブルスに思わず顔をしかめた。周りを見渡すと、セブルスよりも随分と食べている。

「うえー…すげーな皆」

これからの食生活はどうすればいいんだと頭を抱えたのだった。




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