魔法長編/星

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「リュウヤ、セブ!!どうしたの?!」

リュウヤは力無く「リリー…」と呟くと、泣きそうな顔をした。それを見兼ねたセブルスは、リュウヤに変わって口を開いた。

「ポッターがリュウヤのネックレスを投げ飛ばした。リュウヤの大切なネックレスで、翻訳魔法が掛けられているらしい。」

「え…!じゃあ、それが無かったら…!」

「……ゆっくり話せばいいらしいが、授業中が辛いだろうな」

「…そんな……」

リュウヤは、セブルスのローブを力無く掴んだ。何かに堪える様な、そんな表情をしている。

「青い、ネックレスなんだ。夏の空みたいな青で、雫型のヘッドなんだ。一緒に、探してくれる?」

「もちろんよ!!リーマスも一緒に探してくれるみたいだから!」

少し後ろから聞いていたリーマスも力強く頷いた。リュウヤはまた、弱々しく「ありがとう……」と呟くと、セブルスのローブを握り直した。

「リュウヤ。そのネックレスはここら辺に落ちたの?」

「……分からないんだ……」

「じゃあ、手分けして探そう。僕は、もう少し向こうを探してみる。リリーは手前側を探して。二人はここら辺一帯を」

セブルスは、リーマスに指示出される事が気に入らなかったが、あの二人よりかは嫌いではないし、リュウヤの為なので渋々頷いた。リュウヤは相当ショックなのか、セブルスのローブから手を離そうとしない。

「……リュウヤ、離れて探した方が効率がいい」

「………見つかるかな………」

「見付ける。必ず、見付けてみせるから」

リュウヤは、小さく頷くと足元を探し始めた。セブルスは心配そうにリュウヤを見たが、早く見付けてやろうと駆け出した。


―――…


「……リュウヤ!あったぞ!!」

セブルスの声に、弾けた様に顔を上げる。セブルスの手には、変わらず美しく光る青いネックレスが握られていた。一目散に駆け寄り、セブルスに手を伸ばす。

「……必ず見付けると言っただろう」

「ありがとう、セブルス…!!」

ぎゅうぎゅうと抱き着くリュウヤに、セブルスは不器用に笑って頭を撫でた。リリーとリーマスが二人に駆け寄り、安心した顔で見守っていた。

「良かったね、リュウヤ」

「本当に見付かって良かったわ」

二人の声に無言で頷き、セブルスから離れた。そして、はにかむ様な笑みを零した。

「……みんな、ありがとう」

ほわほわとした気持ちが三人の胸の中で広がった。そして三人共、照れた様に頬を染めて視線を行ったり来たりさせた。


「皆さん!!集合してください!!」

今までどこかに行っていたマダム・フーチが、いつの間にか帰って来ていた。箒の近くにいなかった四人を見ると、厳しい顔をして「残るように」と告げた。そのことに不満を隠せないセブルスをリリーが宥[なだ]めている。そんな二人を見て、何だかモヤモヤとした気分が広がるのを感じた。何だかなあと思っていると、リュウヤも居残り命令が不満なのだと勘違いをしたリーマスから頭を撫でられた。

「僕達は悪くないよ。大丈夫」

「でもなあ……」

「大丈夫。僕に任せて」

首を傾げたリュウヤだったが、授業終了のベルが鳴った後に、リーマスの言葉の意味が分かったのだった。




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