book~鬼灯

□きょうだいでふたごで
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「ふっざけんな!」

「何ですか?ふざけてるのはそっちでしょう!」

「うるさいな!せっかく僕は山田くんとこれから遊ぼうと思ってたのにさ!」

「さっきからそれしか言ってませんね!てか山田って誰ですか、知りませんよ」

「よく言うよ!僕と山田くんがちょっとこれからイイコトしよ、ってときに『あ、山田さん。出てってください』って鍵してたのにドア蹴って教室に入ってきたじゃん!」

「「あ」」



今はお昼休み。
ケンカしながらしりあげあしとりをする双子は学校の中でも有名人だ。

弟の鬼灯は、眉目秀麗、頭脳明晰、おまけに反則レベルの運動能力を持っており、女子に目の保養だと騒がれている。
姉の白澤も、容姿端麗、頭脳明晰、弟に負けないくらいの運動能力を持っている。
ただし男グセが悪く、色んな意味で凄い奴だともっぱらの噂だ。

そしてこの二人は、人目もはばからないでケンカするので、嫌でも有名になる。



「またやってんすか……」

声をかけたのは桃太郎。
ケンカ中の二人にこうやって話しかけることのできる数少ない人だ。

「あ、桃太郎さん。いや、すみませんね。このバカが……」

「誰がバカだと!?言っとくけど、今回絶対お前が悪いだろ!」

「は?学校だというのに誰にも彼にも尻尾振るような奴のが悪いと思うのですが?」

「尻尾なんか振ってな」

「まぁまぁまぁまぁ!!!落ち着いてくださいよ!ね?」

「「………」」

さすがに冷静になったのか、二人は黙る。
それに安堵した桃太郎は、そういえば鬼灯に用があったのだと思い出した。

「あ、そうですよ。鬼灯さん」

「はい?」

「後輩の………えっと、茄子さん?だっけ。呼んでましたよ」

そう言い、親指を教室のドアの方へ向ける。
そこには確かに茄子が立っていた。

「あぁ、ありがとうございます。では」

「はい」

「もう帰ってくんな!バーカ」

「………あの教室のドアは姉さんが壊したことにしといたので」

「はっ!?ちょっ、まっ」

白澤が何か言う前に、鬼灯は行ってしまう。
白澤はデカイため息をついた。

「なんでだよ…」

「何があったんですか?」

「えっと、旧校舎の二階で使われてない教室あんじゃん。そこで山田くんとイイコトしようと思ったら、鍵してたのにドアぶっ壊してあいつ入ってきた」

「鬼灯さんなら殺りかねない……」


白澤は、再度ため息をついた。
遠くで先生の呼ぶ声がした。
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