★俺様先生★SS

□風邪
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鷹臣くんが風邪を引いた。
あの鷹臣くんが。
正直、鷹臣くんが風邪をひくなんて思ってなかった。
でも今思えば、いつもあんなに頑張って働いてて、ガタがこない方がおかしかったんだ。
そして自分もなかなか風邪なんか引かないもんだから、どうしたらいいか分からない。
どうしよう!頼りなさすぎる!!
とりあえずお粥用にご飯炊いて、と。
炊けるまでにポカリと風邪薬を調達しに出掛けることにした。

「鷹臣くん?ちょっと買い物行ってくるね?」
辛そうに眠る鷹臣くんに一応声をかけて真冬は部屋をあとにした。


それから数分後ーーー。


「……ま…ふゆ…」


寝苦しくて目を覚ました鷹臣は真冬を目で探す。
真冬はどこだろう。部屋に帰っているなんてことはないだろう。じゃあ買い物?
どちらにしろ、ひとりだというこの状況がとても心細かった。
余程熱が高いらしい。
少し、恥ずかしさが緩和した気がした。
ー真冬の分際で俺をひとりにするんじゃねぇー
そう思いながらまた俺は眠りに落ちた。


次に目が覚めた時には、額には冷えピタが貼ってあって、右側には俺のベッドに上半身をのせて眠る真冬がいた。手には汗を拭いてくれていたのだろうか、タオルが握られている。


「あ…れ?…鷹臣くん?」


眠そうな真冬がこちらを見た。
呑気に昼寝なんざしやがって。


「ちょっと待ってて!ご飯、持ってくるから!」


そう言ってパタパタとキッチンの方へ走る真冬。
温め直されたお粥とポカリを持って戻ってきた。
ベッドの上で座ってお粥を食べた。
美味かった。正直、味は期待していなかったのに。
気付かねぇうちにどんどん成長しやがって。あんなにガキだったくせに…。
どうしてこう、そばにいないと落ち着かなくなったのか。
今まで、俺の周りには俺のペースに巻き込める女しかいなかった。
真冬は反対で俺のペースを乱してくる。
でも、もうこいつじゃないと面白くない。
くそっ。


ーお前が嫌だと言ったとしても、絶対ぇ離してやんねぇかんな!ー


そんなことを思いながら、今度は心地よい眠りについた。


fin.

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