夢想曲1

□04
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天井の隅からどんどん伸びてくる長い髪の毛に気味が悪いと思いながらドアに近づく。

私が動いたのをキッカケに宮地さんはソレを気にしつつ他のみんなと一緒にドアに近づいてきた。


バンッとドアを開けて部屋から出る。

無事に全員部屋から出たところで人の体が落ちてきた。


そんな物体が落ちてこれる隙間なんてなかっただろさっきまで髪の毛で精一杯だったくせに!!無理すんな!!


長い髪の毛を引き摺りながらズダッと床を這うように起き上がったソレを見てしまい慌ててドアを閉めた。

そしてドアが開けられるかも分からないが先程までいた部屋から走って逃げた。



「…っ雨倉、アレいつ見つけた!?」

「部屋に入って全体をぐるりと見渡した時、に!その時、まだっ黒ずんでたから、シミだと思っ……!!」

「その時に言えよ轢くぞ!!!」

「まさか髪の毛だとは思いませんでしたから……!!」



それに黒ずんでるだけで言っても相手にしてくれないでしょう!?と息を切らしながら言うとそうだな!!と肯定された。

そして暫く走ったところに階段を見つけたので此処は一階だったのかと思いながら駆け上がる。


階段を上がりきったところで後ろを見て上を見て何も居ないのでアレは追ってきていないと分かり走るのをやめた。

息を整えながら2階を探索するために歩き始める。



すると、少し歩いた先にウチの主将と向き合って青ざめている目に優しい緑の髪をしたメガネと黒髪のメガネが居た。

明らかにおかしい。一緒に行動しているなら主将から逃げるなんてマネはしない。

しかし私は主将に怯えている二人を気に留めず主将に会えたことに歓喜して花宮さんの制止も聞かず走り出す。


走り出すといってもあれだよ?飛び蹴りじゃなくてラリアットをしたいところだけど身長差がアレだから、タックル。



「キャーップテーン!!」

「う゛!!?」

「「!?」」



先輩たち曰くの石頭で腰と背中の間あたりに頭突きともいえるタックルをする。

私に続いて俺もー!と言って勢いよく走ってきた津川に気付き主将から退くと津川も肩甲骨あたりにタックルをした。


私が退いた時点で反撃しなかった主将にあれ?と思っていると偽者の春日先輩と同じようにボフンッと消えた。



「っな…!?」

「マジかよ…」

「…主将も忍術を!?」

「バカ雨倉ーさっきの偽者のオレと同じだって学習しろよー」



と、いうことはこのメガネコンビは偽者の主将から逃げてたってこと?そうしか考えれねぇだろバァカ

花宮さんと軽くそんなやりとりをしていると黒髪メガネさんが深く息をついた。


緑色メガネさんも安心したように一息つく。その手に持ってる懐中電灯は何だ。見つけたの?



「ハァァ…助かった……」

「主将の偽者から逃げてたんすか?」

「お前は………正邦の茶坊主!!」

「つ、が、わ!!」

「おい緑間、怪我はしてねぇな?」

「はい。しかし宮地先輩まで…一体どういうことなのだよ…」

「ちょっといいですか?主将の偽者が何か持ってたりしました?」

「あぁ、血濡れの斧を持って追いかけられたのだよ」



最初は普通に行動してたのに急に襲いだしてきたんだよと確か…誠凛の主将がそう言った。

名前思い出せないけど黒髪メガネから誠凛の主将にランクアップだけさせときますねと心の中で呟く。


宮地さんが言う緑間さんの言葉を聞いた春日先輩が偽者は血濡れの凶器持ってんのか?と漏らす。


確かに、さっきも春日先輩の偽者が血がついた包丁を持ってたって言ってたっけな…

血塗れというのが不気味さを際立たせるがそもそもこの洋館自体が不気味だから何も言うまい。




「…霧崎第一のアンタもいんのか」

「不本意ながらな。まぁ今は仲良くしていこうじゃねぇかメガネくん?」

「…」

「何々?お二人さん犬猿の仲ー?」

「まぁ何かしらの事情はありそうですけど、今この状況で火花散らしてる暇なんてないですよ?」

「ッ分かってるよダァホ」

「分かってるなら一々つっかかってこないで欲しいんだけどなァ?」

「花宮さんシャラップ」



うわー空気わるーい……そんなことを思うけど二人の名前知らないから軽く自己紹介したほうがいいんじゃないカナー


ってか自己紹介してくださいお願いします。気まずい空気のままとか嫌だよ私

 

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