夢想曲1
□06
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切れ目のイケメンに何故か口説かれてる、なう。
口説かれてるっていうよりなんかナンパ?
周りはポカンとしている人や額に手を当ててため息をついている人と様々だ。
「猫ッ毛なところもまた素敵だし目も透き通っていてキミが純粋な人だと一目で分かるよ」
「はあ…あの、名前は…」
「ハッ…!キミと出会えた事に感動して忘れていた!あなたの運命の相手、森山由孝です」
「森山さんですね。えっと、後ろ…」
「森山さんなんて言わないでくれ!そうだ、キミの名前を教えてくれるかな?」
「あ、雨倉双葉です。正邦の1年です」
「双葉ちゃん!可愛い名前だね…1年ということはオレの後輩にあたるな。気兼ねなく由孝先輩と呼んでくれ!」
「それより、後ろ……」
般若が居るんですけど…と言いかけるところで森山さんはタイミングが悪く次々と話しかけてくる。
ダメだこの人。完全に自分の世界に入っちゃってる……
ちょっと春日先輩、あの雨倉が戸惑ってるとか言うのやめてください。あのって何ですかあのって。
っておいこら正邦メンバー頷くなよなんだよ私の扱いどうなってるんだよ。
森山さんの言葉の中によく運命が使われるけど、運命って言葉好きなのかな…いやいいんだけどね個人の自由だし。
ぶっちゃけクサいとは思ってしまうけど…台詞がベタで何とも言えない気持ちになるけど……
とはいってもこのままじゃ埒が明かないので大きめの声で後ろを見るように促す。
そしてやっと後ろを見た森山さんが見たのは素敵な笑顔だけどどこかキレている宮地さんがいた。
宮地さんに部屋の隅に連れて行かれ、いや引き摺られて説教されているのに苦笑いしつつ改めて部屋を見渡す。
「…大広間……?」
「みたいだねぇ…ここの探索はすんだの〜?」
「あぁ。ヒントと思わしきものは何もなかったがな」
「とりあえず皆さん集まってください。此処に来るまでの経緯を話していただけませんか?」
そうみんなに言ったのは綺麗な赤髪をしたオッドアイの美形。えっまじで美形だうわ、綺麗!!!男の子だけど綺麗!
中央に集まってみんなが床に座り始める。あ、ここ座れるのこのソファしかないんだ。
私も既に座っている春日先輩たちのところに行こうとしたがオッドアイの男の子に止められた。
「…待て、キミはソファでいい」
「え?…けど、話を進める人が座ったほうが…」
「女性を床に座らせるなんて男としてありえないので、どうぞ座っててください」
「わぁっ!!?あ、え、」
「驚かせてすみません。さ、どうぞ」
「話を進めるからといって女性を床に座らせる真似はしないよ」
「…は、い……」
オッドアイの美形と影が薄いけどよく見たら整ってる黒子くんに言われるがまま再びソファにボスッと座る。
座った私を見て二人はどこか満足そうに軽く頷いてからオッドアイくんは私の隣に。黒子くんは日向さんの隣に座った。
…………やだ…!!!これ最近の男子高生!!?すっごく紳士でレディーファーストするとか!!!!!
もう!!最近の男子高生どうなってるの紳士とか胸きゅんパラメーターがぐいぐい上がっていくんだけど!!!!
二人の好感度が先輩たち抜かしそうになるんだけど!!!
普段こんなあからさまに女の子扱いというかレディーファーストをされたことがないので凄くむず痒くて恥ずかしい。
ふわあああああっと両手で顔を覆っていると森山さんが嘆いている声が聞こえたがスルーの方向で。
しかし全員私がソファに座ることに対して微塵も反感を持っていない。
なにこの男前たち。正邦組とかいつも文句言ってなかったっけあれおかしいな猫被ってるー……
それでも二人の影響は私にとってデカかった。この二人の言うことは必ず聞こう。
そんなことを考えていると自己紹介をしてからこの部屋に来るまでの経緯を話すことになった。
「洛山1年の赤司征十郎だ」
「正邦1年の雨倉双葉です」
「同じく正邦1年の津川智紀!」
「3年の春日隆平ね。こっちは岩村努」
「海常3年の森山由孝だ」
「秀徳3年の宮地清志」
「同じく秀徳1年の緑間真太郎なのだよ」
「誠凛2年、日向順平」
「同じく誠凛1年の黒子テツヤです」
「霧崎第一2年の花宮真だ」
改めて数えてみると結構人居るんだなぁ…というか赤司くんは1年だったのね。オーラが違う。
そして、赤司くんからここに来るまでの経緯について話し出したので耳を傾ける。
「まず僕から話そう。最初に僕と真太郎がここの近くの応接室と思わしき部屋で目が覚めた。
場所を特定するために捜索をしたが何も情報は得られなかったから一先ず応接室を出た。
そして部屋を出て少し経った頃に化け物に遭遇して逃げている最中にテツヤと誠凛の主将と会ったんだ」
「そこでオレたちは二手に分かれたのだよ。化け物を撒いた後に正邦の主将…岩村さんに会った。
一緒に行動をしたが突然、血濡れの斧を出して狙いを定められているところに宮地さんたちに会って助けられたのだよ」
な、なるほど…ここの洋館は応接室もあるのか。誰かが住んでいたとか?
けど異空間である線は完全には消えないからそんなことも言えないのか……。
「その化け物ってのは今ん所、正邦の奴らにしか化けてねぇよなァ?」
「ちょっ!?花宮さんオレら疑ってんのかよ!?」
「つ、津川落ち着いて!!化け物が何を基準に化けてるのか分からないし疑いたくなる気持ちも分かります。
けど今はここにいる全員の経緯を聞いてそれから考えましょうよ、ね」
「チッ…」
そう舌打ちをしてぶつけられないイライラに堪える花宮さんの気持ちは痛いほど分かる。
けどまだ経緯を話していないのに真っ先に疑われるのは嫌なものだ。
そして次に話す順番を少し話した結果、黒子くんと日向さんが話すことになった。