夢想曲1

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そして、それぞれのチームに分かれて水色のドアの部屋を出た。

部屋を出る際に森山さんに手を握られそうになったので反射で避けたが私悪くない。



「何かしらのヒント手に入れて来いよ」

「心配の言葉とかないんですかアナタは」

「ふはっ言うわけねーだろバァカ」



鼻で笑いやがったこいつ。

くっそ!絶対に何かのヒント持って帰ってきてもこいつに一番に見せてやるもんか!と思った。


最初は3つのチームで一緒に階段のところまで行く。1階に行くのは春日先輩チームと津川チーム。

私、雨倉チームは2階の探索をすることになっている。


けどみんなの経緯を聞いたところによるとこの階にある応接室と寝室は探索済みなので調べる必要はないとのこと。



「えーと、ここを曲がって……あ、ホラあった階段!!」

「確かこの辺りで岩村の偽者いたよな〜」

「いましたねぇ。じゃ、ここからは津川に案内まかせるね」

「まっかせろって!」

「んじゃ〜宮地、雨倉抱えんのよろしく〜」

「そんな事態にならなかったらいいんだけどな」



宮地さんの正論に思わず苦笑いをしたが赤司くんがまた後で、と言って2チームは階段を降りて行った。


あ。1階の白いドアの部屋に髪の長いアレがいるの言うの忘れてた。やっべーうっかりしてたわー

まぁ誰かしら思い出して近づかないだろうし襲われたとしても津川と春日先輩居るしいいか。


気を入れなおして窓が一切ない長い廊下を歩き始める。人が居る気配は今のところない。


そもそも、他校の人たちが全員一気にここに連れて来られているなら暫く歩く、という時点でほとんど会っているはず。

それでも会わないのはこの洋館が馬鹿でかくて広いのか少しずつ連れて来られているか。


何にせよたどり着く考えは、誰がどんな目的で私たちをここに連れてきたのか、だ。


そんなことを考えているとピンク色のドアがあるのを見つけた。



「ピンク…?…女の子の部屋、とか?」

「白に水色にピンク…カラフルなドアしかねぇみたいだな」

「とりあえず雨倉、開けるのだよ」

「え、私?開けた途端に化け物居るとか嫌だよ?」

「なんで居るのが前提なのだよ。いないかもしれないだろう」

「いやいや居るかもしれないじゃん怖いって」

「いないかもしれないのだよ」

「どっちでもいいから早く開けろよ焼くぞ」

「はいすみません開けます」



くっそ!赤司くんと黒子くんみたいなジェントルメン精神がないのかこのなのだよ野郎!!

まぁ男子高生があんな紳士っていうのが珍しいんだけどさ…


ん?てかこいつ私がソファに座れって言われた時何も言わなかったはずなのに今の扱いがこれか。

やだわー乙女に優しくないわーと思ったけど自分で乙女とかねーわって鳥肌立ったから今のままでいいわ。


ドアに手をかけて開けると中には人が2人居た。居たんだけども……偽者が隣にいるせいですぐ助けられない…っ!!!



なんてことはなく宮地さんと緑間くんを放置して腕を固定しそのまま二人に近づいて行く。


そして偽者と思わしき黒子くんの首目掛けてラリアットォオ!!!



「セェェイッ!!」

「ぐぁ!!?」

「え、!?は!?」

「おぉ…すっげぇキレいいな…」

「感心するところじゃないのだよ」

「!?え、みど、えぇ!!?」



私のラリアットをモロに食らった偽者の黒子くんも今までと同じようにボフンッと煙を立てて消えた。


…が、三白眼の男の子は消えた偽者の黒子くんと私を見比べて状況整理ができていないようで顔は青ざめている。

宮地さんと緑間くんはその子に落ち着くようにとりあえず深呼吸をさせてる。



「深呼吸しろ」

「は、はひ…」

「ごめんね急にー。私が彼にラリアットした経緯とか分かってる限りここのこと教えるよー」

「ひ、あっはいぃぃ!!?」

「…落ち着くのだよ」



あ、なんか近所のビクビクしてて警戒心むき出しのビビリ猫みたい。かわいい。
 
私の考えていることが分かったのか緑間くんがため息をついた。だってこの子かわいい。男の子だけど。
 
 

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