夢想曲1
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降旗くんから無茶をするなと怒られた流れで宮地さんと緑間くんに説教されること数十分。
宮地さんたちの傍らで降旗くんも正座してビクビクしてます最初に怒ったのキミなのに。かわいい。天使か。
「こん中で自分だけが武術できるからって無茶しすぎなんだよ。次に無茶したら刺すぞ!」
「他に頼るということを忘れるな。…何のためのこのメンバーなのだよまったく…」
持久力と体力に自信がない私のためですごめんなさい。
2人は降旗くん以上にくどくどと父親と母親のように説教を続けてくるからどんどん萎縮されていく。
ふええええ精神的に削ってくるよこの2人!!それだけ心配してくれたんだと思ったら心むちゃくちゃ軽いけどさ!!!
そして長かった説教は終わって正座をしていたが立ち上がる。
え、なんで三人とも驚いた顔するの?なに、正座して痺れなかったのかって?そんなもんとっくに慣れたわ。
「救急箱のようなものを探したほうがいいのだよ」
「そうだな。この部屋にもう用はねぇし…」
緑間くんが救急箱のようなものを探そうと言ったときに私を見たので目を逸らす。
この部屋について分かったことは子ども部屋なのにおもちゃが一つもないこと。タンスは注意すること。
黄色くて小さいモノの正体はビー玉。
吊るされているわけでもなかったということは浮いてた?
どうして浮いていたのかと考えたがネジも浮いてたから軽いものは浮くんだと暗示でもしておこう。
部屋から出ながら宮地さんが横目で私を見たかと思うとため息をついた。なんですか…。
「一旦あの部屋に戻ったほうがいいな。このまま化け物が出てきたら無理すんだろ。
戻って全員の経緯を聞いてからの方が雨倉がバカしてできた手首の怪我の悪化させなくていいだろうしな」
「う゛…っ間違ってはないですけど言い方が酷いです…」
「自滅した、のほうがよかったか?」
「私が悪かったですーっ!!」
「拗ねたのだよ」
「拗ねてないのだよ」
「マネをするな!」
「湿布とかあればいいけど…」
あぁ、このメンバー心配しながら酷いこと言うしスルーするから悲しいな…
少し遠い目をしながらそう考えていると廊下に先程までなかったバインダーが落ちていた。
急に出てきたがピンクのドアの部屋から出ていない降旗くんがあれ何だろうと言って手を伸ばしかけたのを緑間くんが抑える。
さらに緑間くんが見ようとしたのを私が遮って行こうとしたのに宮地さんに頭を押しのけられる。
ちょっ女子にすることじゃない!!てか段々私への扱いが酷くなってる!!気のせいじゃない確実に!!!
これだったら散策に行く前の方がまだ扱いは優しかったなぁ…と思っていると宮地さんがバインダーを拾った。
バインダーには紙とペンが挟まっているようでメモをするのにちょうどいいのでは、と思った。
「ただの紙とペンだ」
「紙って何枚あります?」
「自分で数えろ」
「いやあの、宮地さんが持ち上げてて見えないんですけど……」
「チビ」
「うるさい巨人!!!!気にしてるんですっ気にしてるんです!!!!」
「おーおー、いい肘掛だ」
「ちょ、やめ…っわざと力入れてません!!?」
宮地さんに身長のことをからかわれて頭に腕を置かれた。
肘掛じゃないんですけど!!!!さっき巨人って言っちゃったけど何センチあるんだこの人!!?
やめてくださいと痣がないほうの手で払うがすぐに乗っけられる、というのを繰り返す。くっそ身長縮め。
次第にキリがなくなってきたので反抗をやめると降旗くんが宮地さんを止めてくれた。
ありがとう降旗くん!!すっごいひっぺり腰でガクブルしてたけどありがとう!!チワワかと錯覚したけどありがとう!
「………」
「えと、どうかした雨倉?」
「……降旗くんも身長高いよね…何センチ?」
「え…っあ、170…」
「なぜそこで照れる」
「オレの周りも高い人多いから…その、照れくさい」
「170あれば十分じゃない?平均あるし。緑間くんは?」
「195なのだよ」
「あと5センチで2m!!?高すぎ!!!宮地さんは?」
「…191」
「言うのに躊躇った意味が分かりません」
思わず真顔で返すと宮地さんが私の頭を掴みながら一年に抜かされてるからだよ!!!と言った。
いやいやいや190あるってだけで相当ですよ?高すぎですよ?
1年に抜かされてるから言うの躊躇うとか私どうなるんですか最近の小学生に言うのを躊躇うじゃないですか。
そんなことを考えていると降旗くんが同じ質問をしてきた。
「そう言う雨倉は何センチ?」
「…………ひ、152…」
「ちっさ!!?」
「通りで首が痛いのだよ」
「気にしてるんです!!首が痛いのは私もだから!!寧ろ私のが痛いから!!!」
やっぱり緑間くん腹立つな一々…首だけじゃなくて腰も少し痛みますけど!?
見上げるのに必死ですけど!?10センチくらいくれてもいいよてか寄越せ身長。この世はなんて不公平なんだ。
そんな風に嘆いていると緑間くんが人事を尽くさないからなのだよと言ったが人事どうこうの問題じゃないと思う。
騒がしく廊下を歩いて水色のドアの部屋に戻ってきた。
あ、これ手首の怪我怒られるパターンだどうしよう誰かかばってくれないかな無理かな。
正座は別にいいんだけど説教は嫌だな耳にタコができる……。