夢想曲1

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黒子くんが手のひらをこちらに向けて何かを放った謎のポーズをしていた。

今更ながら青峰くんを見るとお腹に目覚まし時計が乗っかっていた。


この目覚まし時計どこのチームが持ってきたんだろう。結構役に立つアイテムじゃんね。


時間決めて散策できるじゃんと思っていたがどうやら動かないらしい。電池切れ?



「すみません雨倉さん。青峰君がデリカシーを持っていなくて…」

「いやそれよりコレ生きてるの?大丈夫?」

「大ちゃん無駄に元気だから大丈夫!」

「ちょっとは安否確認してあげようか」



そりゃさっきは雑な扱いでいいのかと思ったけどダメだってこれ。

ピクリとも動かないんだよ!?黒子くんほんと何したの!?と言うが森山さんに至っては当然の報いだとか言う。


……私と降旗くんは安否心配してるからね青峰くん!!大丈夫1人じゃないよ!!!


と、意味もなく心の中で励ましておく。だってあまりに扱いが…。

赤司くんが気にするなと言って話を進めようとするので青峰くんには悪いけど放置させてもらう。


そして戻ってきた順番に散策で何があったか話すことになった。

津川チーム、春日先輩チーム、私チームの順番だ。青峰くんと桃井ちゃんと伊月さんはどのチームと会ったんだろう。


そう考えていると花宮さん達、待機チームが待機中は何もなかったと言ったのをキッカケに日向さんが話し出す。




「オレらはまず津川の案内で春日さんたちと一緒に1階に降りた。

1階に降りてからの最初の目的は雨倉と津川が居たっていう白い部屋に行くこと。

しばらく歩いたところで急に白いドアから髪の長い女の化け物が出てきたんだよ。

ソイツを見て津川と春日さんが雨倉が説明してた奴だって言って一先ず白い部屋まで逃げようってことになったんだが…」


「オレと津川がソイツに走っていてオレは鍵穴固め。で、津川が顔面にローキックしたんだよな〜」

「何で顔面にしたの?顎にすれば脳震盪とか内出血、血栓とか引き起こすのに…」

「女なら顔面の方がいいかなって!」

「ここで迷わず顎にしなかったのかと質問する雨倉もどうかと思うけどな」

「てへっ!!」



桃井ちゃんと伊月さんに凄い目で見られてます。授業でとってるんだもん。


苦笑いしつつも日向さんは話を続けた。



「まぁ、それでソイツは煙になって消えた。どいつもこいつも物理は効くみてぇだな。

春日さんと津川が消してから予定通りに白い部屋に向かった。

けど壁の一部に小さい球体をハメる枠があっただけで中には入れなかったから戻ってから考えることになった。

んでそこでオレらは春日さんと赤司と別れたってわけだ」



…ネジ、は球体じゃないし、私が怪我した原因ともいえるビー玉だよね……

しかし此処でそれを言うと最初に決めた順番が意味を成さないので話す番まで言わないでおこう。


日向さんが一旦話を区切って、そこからは黒子くんが話し始めた。



「春日さんたちと別れてから少し歩いたところは行き止まりでした。

けど、津川君が壁にドロップキックをしたところ真っ二つに割れました。凄い脚力ですよね。

偽者の壁の先には青峰君と桃井さんが倒れていたので起こしました」


「私達は目が覚めたらテツ君と日向さんと津川くんが大丈夫かって声をかけてくれてたの」

「じゃあ、桃井ちゃんたちは来たばかりなんだね…」



私の言葉に頷いた桃井ちゃんは話を続けた。少し、桃井ちゃんの手が震えてる。



「とりあえず私と大ちゃんのことを知らせるためにも水色のドアの部屋に戻りましょうってテツ君が言って、

此処に来る際に、その…ぞ、ゾンビ…みたいなのに遭遇して……怖くなったんだけど、でも…

津川くんがこめかみにハイキックしたら消えたんだけど…ね」



ビックリして腰が抜けちゃって、大ちゃんがおぶさってくれて、それで此処に来たの。

そう言った桃井ちゃんはゾンビの化け物に遭遇した時を思い出してしまったのか顔色が悪くなる。


私はグロイのとか見ても平気だから遭遇しても驚きの方が強かったし叫ばなかった。

そういう類が苦手な人にとっては怖いと一言で表せるほどの軽いものじゃないだろう。凄く怖かったはずだ。

さっきの部屋で手首を掴まれた時のように、凄く怖かっただろう。


震える桃井ちゃんの背中を撫でて空いているほうの手で桃井ちゃんの手を握る。



「…大丈夫。桃井ちゃんは私が守るから。

怖かったよね、なんて言葉で安心できるほどの恐怖心じゃないと思う。けど、ちゃんと守るから」


「っうん……」

「けれど、私だけじゃ出来ないことは沢山ある。

武術ができる私達正邦だけでもできないことは多いと思う。

だから、此処から出るためにも皆さんの力を貸してください。改めて、お願いします」



桃井ちゃんからみんなを見渡してそう言うと様々な反応を見せられた。


今更だな、と呆れる人もいれば当たり前だよ、と力強く微笑みかけてくれる人や、出るためだからな、とデレる人も。

桃井ちゃんに早く此処から出ようね、と言うと少し泣いたけど微笑んで頷いた。


空気壊すけど緑間くんと花宮さんのデレをいただけて私は凄く満足です。

いや、もちろんみんなと意思を固めれたのも嬉しいけど、デレって貴重だよね録音したかった。
 
 

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