夢想曲1

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で、まぁみんなに呼びかけてこのまま少し休憩を挟むことになった。

戻ってきて結果を伝えてまた探索に向かうのは大変だからね。


そういえば私と津川が最初に居た部屋のところに小さな球体を入れるような窪みがあったって言ってたっけ。

あー、そうだそうだ。私達の探索結果を言ってからにしようって後回ししてたな。


ちなみにこのソファは4人掛けで右から順番に赤司くん、私、桃井ちゃんの順で座っている。


隣に座る赤司くんに声をかけて私が肝を冷やして取ったビー玉を見せる。



「赤司くん」

「何だ」

「これ、タンスから取ったビー玉なんだけど、赤司くんたちが言ってる白い部屋の所に嵌らないかな?」

「…少し見てもいいか?」

「というか赤司くんが持っててほしいな。私だったら落としそうだし」

「そうか」



では持っておくよ、と言った赤司くんにビー玉を渡す。

ビー玉を受け取ってから手のひらで転がしたりするがただのビー玉。これに仕掛けなんて働くのかな…


赤司くんがビー玉を見ていると花宮さんが近づいてきて言葉を交わさず赤司くんが渡した。


……頭脳派は何を考えてどうして無言で通じるのかが分かんないわー…



「…普通のビー玉だな」

「大きさ的にはどう?」

「ピッタリだ」



花宮さんが赤司くんにビー玉を返した際にチラリと私の右手首を見た。

じーっと見たかと思えば口を開いた。



「おい雨倉。掴まれたとき、どんな感じだった」

「え?」

「だから、力加減とか重さとかだよ」

「えと、力は見ての通り手形がつくくらい強くて、でも骨は痛みませんでした。

掴んでたのは右腕だけで、重さ…はなくて、力強く下に引っ張られてる感じでした」



まるで地があって足を着き、力の限り引っ張られているような感じです。


そう言うと赤司くんと花宮さんは考え込む。

またあの部屋を捜索しに行かなければならないのだろうか…そう思うと少し憂鬱になる。



「…次の探索では救急箱とこのビー玉を嵌めに行く。そして他に人が居ないかも探すことにしよう」

「あ、そのことなんだけど私まだ探索組でいいかな?」

「ダメだよ双葉ちゃん!!怪我してるでしょ!」

「大丈夫っ足技使うから!」

「でも、」

「手は使わなくても跳び蹴りとかドロップキックとかできるし!」

「ハァ…手は使うなよ」



赤司くんがため息をつきながら許可してくれたので小さくガッツポーズ。


休憩する時間はまだあるようなので誠凛の皆さんに話しかけに行った。



「あれ、雨倉?」

「私も会話に入れてくーださーいなっ」

「もちろん」

「やった!じゃ、早速質問なんですけど…誠凛の監督さんって部活ではどんな感じなんですか?」

「え、カントク?なんで?」

「2年なのに監督として誠凛まとめてるでしょ?スポーツジムの娘だって聞いてるし…

試合の切り替えも早いし、まぁ言っちゃえば憧れとか尊敬してるの!」


「へぇ…カントクが聞いたら喜ぶな」

「寧ろ調子に乗るだろ…」



カントクをそう言って褒めてもらうとボクらも嬉しいです。と黒子くんが小さく微笑んだ。


アッ!!!?黒子くんよくよく見たら結構イケメンだ!!?隠れイケメンだね!?

今ちょっとときめいた!!表情まったく変わんないからクールなのかなって思ってたけど表情筋動いた!!


なんて思っていると後ろの方から微笑むテツ君もかっこいい……!!という黄色い声が。

えっ……桃井ちゃんまじか。恋する乙女か!!!なにそれかわいい!!!

惚れるまでの経緯とか詳しく聞きたい。恋する子の話聞いてると抱きしめたくなるんだよね…!


桃井ちゃんのまさかの想い人に驚いて桃井ちゃんの可愛さに堪えて真顔になっていると集合をかけられた。

ソファに戻って桃井ちゃんに小さく応援の言葉をかけると頬がほんのりピンク色になって笑顔でお礼を言われた。


なるほどこれが天使か。




「そろそろ探索に行こうか。メンバーは既に決めてある」



あの…いつメンバー決まったんですか…

今までの探索では話し合って決めてたのにいきなり強制っすかそうっすか…
 
 

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