夢想曲1
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いつの間にか決められていたメンバーを赤司くんが発表する。
「まず津川、花宮さん、森山さん」
「どうしてこうも双葉ちゃんと一緒になれないんだッ!!!」
「黙れ森山轢くぞ」
「次に春日さん、真太郎、伊月さん」
「あいよ〜」
「最後に僕と大輝と雨倉。残りの人は待機でお願いします」
「えっ!!?雨倉も行くの!?」
「足技か」
「流石は主将!よくお分かりで!手は使わないってことで赤司くんに許可もらったんで大丈夫ですよー」
両手をピラピラと振って手は使わないと表明するが固い表情がほとんど。
だけど赤司くんに許可は取ってると付け足せば渋々といった感じで納得をしてくれた。赤司くん効果スゲェ
「…けど、もし手を使わなきゃいけない状況になったらどうするんですか?」
「だからこそ大輝をメンバーに入れたんだ」
「「「あぁ…」」」
「えっ納得しちゃうの?」
大ちゃんは野生児だから問題ないよと桃井ちゃんが微笑んで言う。野生児ってあんた幼馴染をそんな風に…
あぁ、そうだった桃井ちゃんだから青峰くんをこんな扱いにできるんだったね忘れてた。もう何も言わないよ。言いそうだけど。
しかし3組全部がどこの探索なのだろうか。
伊月さんがメンバーにいるってことは書庫に行くのかな。と考えていると赤司くんが説明してくれた。
「僕たちは白い部屋の所へ行く。津川たちは最初に2階の地図を書いてから1階の地図を書いて欲しい。
春日さんたちは伊月さんが居た書庫へ。書庫ならここについての手がかりがあるかもしれない」
「あと、救急箱も探さないとな」
「ですね。他にも人がいないかも探さなきゃいけないですし…」
「いい?津川、雨倉。化け物が出てきたとしたら一撃で消滅させろよ〜?」
「「サーイエッサー!!」」
「何故あそこだけ軍事的なのだよ」
緑間くんそれ言っちゃダメよ。だって返事の仕方はただのノリだもん。
だからと言って「押忍!!!」とか言わないけどね。ちなみに津川と打ち合わせせずにこの息の合いようですよ。
まぁクラスから部活まで同じだし自然と話す時間も増えて友情を築くのも当然なんだけどね。
それはそうと、伊月さんは大丈夫だろうか。
さっき誠凛の所に会話に入れてもらいに行ったときは目が覚めてからの経緯を話していたときより幾分か落ち着いてたけど…
「あの…伊月さん」
「ん、どうかしたか?」
「書庫に行くのに無理しないでくださいね?あ、いや私が言えた事じゃないのは分かってるんですけど…
でも、何かあったりしたら遠慮なく春日先輩に言ってくださいね!いざとなったら負ぶってもらっても」
「!あぁ…ありがとう。雨倉も無理するなよ?」
フッと微笑んだ伊月さんは…和風美人、とでもいうのだろうか。
少し細身に見えるけど髪はサラサラだし顔整ってるし落ち着いてて優しいしバスケしてるしモテるんだろうな。
なんていうか本当に…
「はっ…!アリが鯛にありがたいと言った。キタコレ」
「伊月ダマレ」
残念だしもったいないなぁ…としみじみ思う。
まぁダジャレを考えるのもそう容易いことではないし脳の活性化に繋がって将来の老化防止になるじゃないか。
プラスの方向に考えよう…と軽い暗示をしていると伊月さんを除いた誠凛のみんなが何ともいえない顔をしていた。
なんとなくお疲れ様です。と目で伝えてみたら静かに頷かれた。アイコンタクト成功。
「伊月さんダジャレ好きだったら雨倉と気ぃ合うんじゃね?」
「何!!?本当かソレ!!」
「違います。津川も適当なこと言わないでよ」
「似てるしいいじゃん」
「ダジャレと早口言葉は違うでしょーが」
「え、早口言葉?」
「こほんっじゃあまずレベル1からいきます?」
咳払いをしてそう言うとレベルとかあんの!!?とツッコミを入れられた。
早口言葉に難易度は付き物なんですよ。ふふ…
と、言っても赤司くんからの視線が地味に痛いから一つだけにしよう。
代表的なアレでいいかな。もしもう一つせがまれたらアレにしよう。そう思いながら深呼吸をして言う。
「東京特許許可局許可局長。東京特許許可局許可局長。東京特許許可局許可局長」
「すっげぇぇぇえええ!!?3回言ってそれかよ!?」
「東京特許きょきゃきょ…言えないよ!?」
「もう一つ!!もう一つ言って!!長めのやつで頼む!」
「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ
かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ
かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ」
「こわっ!!?」
「何で噛まないの!!?」
「特技だからね!」
えっへんと自慢すると青峰くんが挑戦しようとしたが舌を噛んで撃沈。うわぁ痛そう…無理にしなくていいのに。
けどダジャレとの相性はよさそうじゃね〜の〜?と言う春日先輩に苦笑いを返す。
さて、そろそろ探索に出かけなきゃね。