夢想曲1

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1体倒したらまた1体。次々とゾンビが来たが全て消滅させていき残り2体。

ゾンビなのに頭を使ったのか挟み撃ちにしてきたのでしゃがんで左腕を軸に足を回して足払いをする。

2体がグラついている間に足元から抜け出して1体の後ろに回りこみ、頚椎目掛けて胴回し回転蹴りをする。

そうすれば向き合っているもう1体も巻き込まれる形になるので追い討ちで助骨に踵落としをした。


ボフボフンッと音を立てて消えた2体も含め足技だけで10体ものゾンビを消滅させた。

動き回ることによって汗もかいて暑くなるので着ていたセーターを脱いで肩に担ぐように持って後ろに振り返り一言。



「ふぅ…終了!」

「……雨倉…」

「ん?」

「男前かお前はッ!!!オレ何のために来たんだよ!?惨めに思えてくるわっ!!!」

「まさに無双、だったな…」



赤司くんと青峰くんがさっきまでいたゾンビに追われていた3人の傍に居て怒られの少し苦笑いされ…

なぜだ。私頑張ったのにぃー…10体も足技で倒すの私結構きついんだよー?倒せないことも無かったけどね。


そんな風に内心拗ねながら放心状態の3人に怪我は無かったかと尋ねる。

無言でコクコクと頷いていて3人とも目は大きめだから少しきゅんときた。特に薄い金髪の人猫みたいで可愛い。



「1人で10体とか…」

「手も使えたらもっと早く終われたんだけどねー」

「足だけでも十分はえーよ!!!5分もかかってねーよ!」

「あれっ青峰くんってツッコミ要員だったの!?」

「ちげーよ!」

「いたっ!この…!!」

「っでぇぇええ!!!足技はやめろよ!!マジでいてーから!」

「ただの蹴りですけど?」

「ただの蹴りでこんな痛いわけあるか!!」



やっぱり青峰くんツッコミ要員なんじゃないの?と思ったが今度は口には出さないでおく。


しかし3人のことも色々と聞きたいので声をかけようとした。

…ら、茶髪でゲジ眉の人が目をカッとさせて大声かつ早口で話しかけてきた。ごめん、なんて?



「うおおお!!!お前すっげー強いんだな!!オ(レ)すっげー興奮した!!」

「うるっせェなお前は!!」

「…早口でなくていいですよ」

「おぉっそうか!でも興奮してたか(ら)ついな!助かったあ(り)がとう!」



うん、ゲジ眉の人ただ早口でうるさいだけかとおもったけど最後のついっていうのに全てを許した。

熱血系は少し引くけどこの人は別かなぁ…テンションが上がって大声の早口になっちゃうんだね…つい。

そういう系の熱血もあるのかと1人で納得していると黒髪の男の子が話しかけてきた。



「えと、ラ行言えないらしくて聞き取りにくいけど頑張れ」

「ありがとうございます。なんとなくでやっていきます……っと、皆さんの名前を教えてもらっても?」

「あ。そうだったな…オレは陽泉3年、福井健介だ。よろしくな」

「海常2年!早川充洋!!」

「誠凛1年の福田寛。オレ、君だけ知らないんだけど…」

「オ(レ)もっ」

「正邦1年の雨倉双葉です。マネージャーやってます」



と言うと正邦の!?と福田くんが言ったので津川のことだろうなぁと苦笑いする。


それにしてもなんか誠凛多い?確か福田くんは名前を聞いて思い出したけどベンチじゃ…?

犯人はスタメン以外も連れて来てる?桃井ちゃんもマネージャーだし…だとしたらすごい人数になるんじゃ…

各学校のスタメン以外も数えてみるか?と思ったが絶対に100は越えるので流石にありえないか、と諦めた。


今現在のメンバーは私、赤司くん、青峰くん、福井さん、早川さん、福田くんの6人。

これ以上増えても守りきれる自身が無いし、大人数で動くのも良くないだろう。


私がそう考えていたように赤司くんも同じように思っていたのか一度戻ろうと言った。



「大人数で動くのも良くないだろう。一旦あの部屋に戻ろう」

「待てよ赤司。この階の探索はどうすんだよ?」


「探索してまた大量の化け物が出てきたらどうするつもりだ?大輝がいるにしても大半は雨倉1人が消滅させるだろう。

さっき10体も消滅させたんだ。これからも探索に出ることを考えれば一気に体力を削るより戻る方がいい。

もし他に人が居たとすれば必ず探索に出ることになり、あの部屋にも来るだろう。見えているものだけを追えばいいというわけではない」



分かったな?と言った赤司くんに青峰くんは軽く眉間に皺を寄せて分かったよと言って先頭を歩き始めた。


青峰くん、赤司くんのこと苦手そうだなー…難しい説教ばっかりされてそう。

なんて考えていたら他のみんなも歩き始めていて私も行こうとしたら前を歩いていた赤司くんと福田くんが立ち止まった。


どうしたの、と聞く前に2人は振りかえって私を見た。福田くんの腕の中には救急箱。

……え、なに見つけたの?



「目が覚めたとき傍にあったんだ。怪我してるって聞いたけど、何処?」

「救急箱あったんだ……あ、ココ。湿布とテープない?」

「ちょっと待ってて」

「自分でできるか?」

「うん。授業でできた怪我の手当ても自分でしてたし、マネージャーだしね!」

「あったよ」

「ありがとー」



福田くんに湿布を渡してもらい手首に貼ってテープで固定する。

きちんとした手当ては水色のドアの部屋って表現なんか長いし大広間でいいや。大広間で桃井ちゃんにしてもらおう。


早く来いよと言う青峰くんに返事をして階段を上がった。帰りはループが無かったので安心でした。
 
 

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