夢想曲1

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階段を上がりながら福井さんたちが目を覚ましたときから化け物に追われるまでの経緯を聞いた。



「オレは目が覚めたらこの階段の下だったんだよ。

よく分かんなかったけど階段の上が閉じられてて何かねーかなって探してたら突然開いて…

びっくりしたけど階段の上に居たのがこの2人だったんだよ」


「オレと早川さんは何か壊された形跡のある、壁?の中で目が覚めたんだ。

ここがどこか調べようって思ってたら早川さんが壊されてない部分にあったレバーを降ろしたんだ。

そしたら壊れてないほうの壁が開いて、そこに福井さんが居たんだよ」


「じゃあ2人も階段を降りてさっきの階を探索してたの?」

「おう!さっきの階に降(り)て歩いて少ししたとこ(ろ)にあった黄色いドアを開けた(ら)大量のゾンビが出てきて追わ(れ)たんだ!」



なんとか早川さんの言葉を聞き取る。集中しないと何言ってるか分かんないや。


ここでも色つきのドアか…何か目印とかでもあるのかな?


けど話を聞く限りではやっぱりさっきの階はまともに探索をしていないということになる。

…というより黄色い部屋に大量のゾンビが居て階段下に居た福井さんが無事ということはドアは開けれないのか?

それだったら白いドアの部屋に閉じ込めたはずのアレが出てきたのは何でだ?床を這ってたらしいのに。


化け物の種類も部屋に入れるのか否かもどうしてそんなものが存在するのかも分からない。




「そういえば赤司くんと青峰くんが階段を降りるとき何か違和感なかった?」

「あったけどすぐになくなったぜ」

「…何が僕たちを階段のループに嵌めた?」

「それが非常に迷惑かつ鬱陶しい能力を持ってる化け物もいるみたいで…壁に顔出てきたから蹴ったら出れたけど」

「サラッと蹴ったって言えるお前が怖いわ」

「武術の授業ではいつも締め上げるとか急所を狙えとかいう言葉が飛び交ってますがね」

「「「武術の授業怖いな!!?」」」

「臨時教員とか元日本代表も教えに来てくれるので怖いばかりじゃないですよー」



なんなら護身術としていくつか教えましょうか?と聞いたが断られた。

そして暫く歩いて階段を上って化け物に遭遇することなく大広間のドアが見えたところで後ろから色んな音が。


まず最初にすごい走り音と少しの悲鳴と早く走れという怒号。極めつけは化け物ぉぉぉおというもの。


振り返ってみるとスプラッタな女の化け物が…えーと、8人の大男たちを追いかけていた。

ウチから出した戦闘要員である津川は何か筋肉凄い人に担がれてた。ありゃ気絶してんなーなっさけなーい



「…雨倉」

「なんでしょう」

「津川が気絶して化け物を倒すどころか担がれているが」

「あいつグロいのダメなんだよね」

「ダメなんだよねなんて悠長なこと言ってる場合か!!」




遠まわしに消滅させてこいって言ってるよね赤司くん。威圧感半端無いわー…

仕方ないなーと呟いて赤司くんをちらりと横目で見ると静かに頷かれたので化け物に追われる大男たちの所に走る。


私に気付いた花宮さんと伊月さんとその他諸々がグロいから来るなと言って止めようとする。


いや、そんなことよりなんで花宮さんと津川の所に伊月さんがいるの?

森山さんだったはずなんだけどと思いながらスルスルと人の間を抜けていく。こういう時小柄でよかったって思う。ちょっと悲しい。



そして向かってくる私に目標を定めるのに遅れたソレに流れるように顔をひっつかんで足払いし、地面に思い切り叩きつける。

それだけでは煙にならないようなので浮固をすると、今度は音を立てて消えた。



「はい終了ー」

「「早っ!!?」」

「えーと、どなたか存じませんが津川がご迷惑をおかけしました」

「構わねぇよこのくらい」

「お前本当に女か?」

「何で疑うんですか!!?あっあれでしょ女に守られてるって思っいたたたたたた!!!」

「おーおーいいところに頭があるなぁ雨倉チャン?」

「頭!!頭ギリギリ言ってる!!!ねぇ花宮さん頭ギリギリいってるよ!?」

「よかったな」

「よくないです!!!せっかくスプラッタから助けたのにぃぃいい!!」



こんな仕打ちはあんまりじゃないか!!と痛みで涙目になる。


そんな私を見てか伊月さんが花宮さんから離してくれた。ありがとう伊月さん!!!

けどその花宮さんと誠凛の空気が悪いのはやめてほしいかな!!険悪な雰囲気怖いし嫌いだよ私は!!



「おい、痛がってるだろ」

「ふはっなんだよ優男か?こんな時でも優しいなんてな」

「それとこれは関係ないだろ。雨倉が痛いって言ってるんだから離してやれよ」

「イイ子ちゃんだな本当に…反吐が出るぜ」

「あの、とりあえずあそこで呆けてる人たちどうにかしませんか」

「え?」



間に挟まれて堪えれる子じゃないんだよ私は。


話を変えるためにそう言うと伊月さんが私が見ているほうを見ると数名ポカーンとしたままだった。

ま、女子が何の躊躇いもなくスプラッタな化け物に突っ込んで行って消滅させたからね。


仕方ないっちゃ仕方ないのかなーと思うけどいい加減に動いてほしいなぁとも思う。
 
 

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