夢想曲1
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黄瀬と名乗った男の子を見ていつの日かの友達との会話を思い出した。
あぁ…モデルやってるんだったっけか。オーラがまず違うよね。キラキラーってかシャララとしてる。
ミーハーな子たちだったから語る勢いが凄かったのが印象に残っている。愛されてるね黄瀬くん。
あと津川がバスケ始めて間もない頃の黄瀬くんをしつこいディフェンスで抑えたって言ってたっけ。本当にしつこいもんなアレ。
ボケーッとそんなことを考えていると桃井ちゃんが声を掛けてきた。
「きーちゃんモデルやってるんだけど、知ってる?」
「ん?うん友達が凄い語ってたり月バスにも載ってたから。そういえばお母さんが黄瀬くんがデビューした頃の雑誌買ってたなぁ」
「雨倉は雑誌って言ったら月バスしか買わねーしな」
「あとは〜イケメンだとは思うけどタイプじゃないって言って騒ぎ立てないよな〜」
「マネージャーとして騒ぎ立てないところは有り難いがな」
「津川聞いた!!?主将に褒められた!!!」
「はいはい」
いやだってさー…そりゃあ黄瀬くんイケメンだよ?輝かしいオーラがあるよ?
けど黄瀬くんと会う前に宮地さんとか赤司くんとか森山さんとかに会ってみ?既にイケメンだらけだよ?
「あ、じゃあイケメンだとは認識してるんだ…」
「まぁ…。なんで?」
「きーちゃんのこと見たら騒ぐ子しか見たことなくって少し疑問に思ったの」
「そっかー…けど黄瀬くんに会うまでに色んな人に会ったからなぁ…」
「「あぁ…」」
「ちょっ桃っちに黒子っちまで何同意してんスか!?オレ、モデルなのにーっ!!」
「…でもちょっと分かるわその気持ち」
「ですよね!あっリコさんって呼んでいいですか?」
「全然いいわよ」
「やった!ありがとうございますっ」
「もー!雨倉?さんも話逸らさないでよ!!」
そりゃ最初に黄瀬くんに会ってたら少しはイケメン!ってはしゃいだかもしんないけど伊月さんとかと先に会ったから…ね?
要するに最初のインパクトが少なかったんですよ。それまでにイケメンに会っていたもので。
今はモデルだすげーみたいな小学生低学年みたいな考えしか持ってないわけですよけどイケメンだよねくそぅ。
そんなことを考えていると自己紹介を終えたので次に探索結果を話さなければならないが…
如何せん人数が多くてどこのチームから話せば良いかわかんないわけですよ。
「…まずは合流したチームを分けようか」
「私達は福井さんと早川さんと福田くんで…部屋の前で見たのが諏佐さん、若松さん、根武谷さん、原さん、火神くん」
「そいつらは最初オレと津川と森山サンのチームと合流した」
「オレと緑間と春日さんと合流したのは黄瀬とカントクだよ」
「どこのチームから話すんだ?」
「無難に人数多いところからで良くねぇ?」
「オレも宮地さんと同意見です」
緑間くんが宮地さんの提案に賛成したので人数の多いところ…花宮さんのチームからということになる。
けど一室にこれだけの人数で目が覚めるとは思わないので最初に目が覚めたときの人で分かれてもらった。
火神くんと諏佐さん。原さんと根武谷さんと若松さんが同じ部屋で目が覚めたらしい。
「では、火神と諏佐さんから永吉たちと合流するまでを話して下さい」
「あぁ、分かった。」
赤司くんが諏佐さんに経緯を話すように促すと諏佐さんは返事をした。
目が覚めたのはどこの部屋だろうと小声で桃井ちゃんと話していると、驚きの言葉を発した。
「オレと火神が最初に目が覚めたのは1階の書斎だ」
「……えっ?」
「書斎…ですか?」
「?そうだ」
諏佐さんの言葉に私達は驚きの表情に染まる。どうして次から次へと新しい部屋が出てくるの?
福井さんが居た階だってそこに繋がる階段だってなかった。伊月さんが居た書庫だってなかった。
なのにどうして、いつ、部屋が増えていくのか?そこに条件や規則性はあるのか?
手当てして隠した右手首の痣がジクリ、と痛んだ気がした。